あれは、ちょっとした狩猟採集時代だった。
漫画だとか小説、音楽などにまぁ相当な時間とお金を費やしてきた。
高校生になってバイトを始めるまではお金もなかったので、自転車で30分以上かかる秋葉原や神保町、各地のブックオフをはじめとする古本屋をハシゴして、100円でも安く本やCDを手に入れることに精を出し続けていた。時に前の店の方が安ければ、わざわざ戻って買うようなこともあった。
今になって思うと、あれはとてもいい経験だった。自分の根幹を形成している何かだと思う。
何がいい経験だったと思うのかな…と冷静に考えてみる。
今っぽく例えるなら、あちこちを彷徨いて木の実を拾ったり小動物を獲ったりして暮らしている狩猟採集時代を体験したようなものだったのかなと思う。食欲でなく、知識欲や所有欲を満たすための狩猟採集。
随分と東京の色々な景色も見たし、街と街がどんなふうに繋がっているのかを実感できた。「時間」っていう軸で語るなら、壮大な時間の無駄だし、ヒマのなせる技そのもの。効率がいいとはとても言い難い。
ですが、効率ってものは、短期的には結果が出るものではないと思っています。随分と時間が経った今になって「あれは実は効率が良かったんだな」って思ったりしてます。
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