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アウェイ?社会不適合?いや、みんな地球適合者だ。

皆さんが住んでいるところはホームですか?アウェイですか?

僕は兵庫県がホーム、4月からアウェイな北海道に住み始めています。

今日のものがたりは僕の逆、北海道がホーム、兵庫がアウェイの農業女子・藤木悦子さんです。

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もうそろそろ北海道の年数と兵庫の年数が逆転する藤木さん。その長い年数アウェイな環境で生きてこられた、そのものがたりに迫ります。


わからない、知らないからこそ勢いで決める

ーー北海道ではどんな生活をされていたんですか?

実家の酪農の仕事を手伝っていました。ちょうど今の夏の時期が忙しくて、牛の食べる餌を1年分作りながら、牛の世話もしてました。

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ーーちなみに牛って何もしないで勝手に草食べて育つと思ってないですよね?笑(藤木さん)

人間と一緒で、ある程度大きくなるまで育てて妊娠させて、出産させて、お乳を搾ります!
こんな感じで育児をして、親離れしたらまた子どもを育てて妊娠させます。3,4回出産をすると牛はその役割を終えます。

ーー今も農業されているってことは酪農が楽しかったんですか?

いや、大変でしたよ!休みがなくて。365日毎日あるから、家族で出かけてとかも無かったですね。
でも牛は好きだったので、実は私ほんとは獣医になりたかったんですよ。ただ、私は長女だし、酪農を継ぐつもりで農業の専門学校に入りました。
そこで主人と出会って酪農の道に進まずに、兵庫で農業してるんですけどね(笑)

ーーうわあ、すごい決断!兵庫に行くって決めたときはどんな気持ちだったんですか?

この人と結婚して兵庫に行く、もうそれしか見てなかったので、ノリと勢いですね!
若い時は何も知らなくて選択肢もない状態ですけど年を重ねると逆に選択肢候補がぞろぞろ出てくるので。何も知らない状態がよかったのだと思います。

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そのときにこっちに行ってみよう、と思った時点でそっちを優先してもいいと思うんですよ。進んでみて違うなと思ったら戻ればいいし。

勢いで決めちゃっていいと思う。なんせ明日になって若返ることは無いんだから、なんて僕は感じました。勢いで決めた藤木さん、兵庫に来てからはどんな生活だったのでしょうか。


兵庫に来て理想の働き方と現実(子育て)のギャップに後悔した

自分の進み方を兵庫に来てから後悔した時期がありました。

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ーー後悔したんですか!?

はい!子どもを3人産んで、子育てが忙しいときは農作業に関われないで家の事だけしてました。自分以外は農作業をしてて、自分以外の時間だけが進んでるような気がして、「わたしなにやってるんだろう」って思うことはありましたね。「どうしよう社会においていかれる...」的な(笑)

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私、専業農家なんですけど私の周りに住んでる人は兼業農家しかいなくて、周りに頼れる人がいなかったので本当にアウェイでした。

ーーそれは大変だ。

しかも、周りの兼業農家さんにとっては「私は勤めに出てるのに」とよく思わていませんでした。
兼業農家のお嫁さんにとっては、畑に出て一緒に作業する私は邪魔な存在だったんです。

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周りに知り合いがおらず、かつ同じ境遇の人も住んでいる地域にいなかった藤木さん。それでもある人の出会いをきっかけに変わることができたそうです。


変われたのはきっかけがあるから

ーーどんなきっかけがあったんですか?

私が行き詰ってた時に宝塚の農家さんを紹介してもらって。そこの奥さんがものすごく元気な人だったんですよ!
奥さんが関西の農家のお母さんが集まるオフ会みたいなのに連れて行ってもらって、こんなことして商売してるのか、こんな農業の仕方してるのかっていうのを知ることができました。

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そんな中でも一番間違ってたなと思うことがあって。
みんな私より10も20も上なのにみんな生き生きしてたんですよ!で口々に「農業って楽しいよね!」って言ってたんです。
自分の販売の仕方とか、加工の仕方とかこういうもの売ったらいいんじゃないっていうのをすごい楽しそうに会話してたのをみて、私が知らなかっただけでここにはすごい面白いやり方があるんだって知れたのはすごい大きかったですね。

ーー明るくて楽しんでるって素敵ですね!

ほんとに!周りは兼業農家だけど、違う風に生きてる人がいて、「何だそれでいいんだ!自分の仕事が楽しかったらそれでいいんだ!」誰か傷つけてるわけじゃないし、そう吹っ切れることができました。
何がきっかけに、というのは人それぞれだけど同じようにみんなつまずくんです。
求めるものはそれぞれ違うけど、根本的にはなんだみんな一緒なんだ大丈夫、と思って家に戻れればいいなと思いますし、そのきっかけを作ってあげたいなと思います。


きっかけを作ってくれたからこそ、自分がきっかけをつくりたい。

ーー周りで困っている方とかいるんですか?

はい。農家の女性ですね。女性は子育ても仕事もしてるけど男性のように会で集まって飲みにいくとかなくて。同じように仕事してるのにそれが認められてないみたいでいやだって言う声がありました。そこで行きたいところや見たいものがあったり、気になることがあったらなんでも聞けるような場を創りました。

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ーーいいですね!実際にやってみてどうでしたか?

とっても良かったですよ!遊びに行くのではなく、自分たちの見たい農業を見に行くと言うのをしました。結果、男の人の視点にはない女の人の視点が生まれました。

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ーー女の人の視点・・・とは?

2つあって。
1つ目は適正量が分かることです。料理をするので大体これぐらいのサイズを買えばいいというのが分かります。
2つ目は見栄えですね。案外規格から外れたものでもこういう売り方したら売れそう、とかのアイデアも出せたりします。

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こうして女性ならではの輝き方を見つけた藤木さん。直売で売る農業でファンを確立していきました。

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年1回、駅前でする2日間の催事に出店させてもらって。1日目来てくれた人が今日買ったけどいいものそろってるから明日友達連れてくるわ、と言って来てくれた時は本当に嬉しかったですね。

ーー肩身の狭い思いをしている人たちに向けて伝えたいことはありますか?

自分が変わるきっかけの節目節目は背中を見せてくれる先輩や考えるきっかけをくれる友達に出会えたことが一番大きかったです。
だから「難しいことじゃないから自分が一歩だけ外に出ませんか?」というのを伝えたいです。
そして、「大変だけどなんだかんだ楽しいよね!」と言い合いたいなと思います。

きっかけに出会うために今いる世界から一歩だけ外に出ることを教えてくれた藤木さん。そんな見えない世界に飛び込む世界にワクワクしていたら、冷静に藤木さんに諭されました。


最後は自分でやさしく生きる道を決める。

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「ただ、気をつけてね。知り合えば知り合うほど孤独感が強まるから」

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ーーさっきと矛盾してないですか...?

ううん、人と知り合えば知り合うほど比較対象が増えるからそれをかみ砕いていかないといけないんです。
だから最後は自分はどうしたいかで決めほしい。特に自分が面白い、楽しいで決めてほしい。昔みたいにここで一生頑張る、とかないしギューッと考えなくても優しく生きられる道を探してほしいですね。
試してダメなら戻ってくればいい。私の子供は「社会には不適合だけど、地球には適合してるのでよーし!」と言って一緒に農業してます!

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関西弁を出しまくって
兵庫➣北海道に移り住んでアウェイ感を少し感じていた僕ですが、
北海道➣兵庫に移り住んだ藤木さんにアウェイと言う言葉を打ち消されてしまいました。


新型コロナウィルスでもうこれからは不確実な世の中。今悩んでることだって藤木さんも僕も答えなんか正直分からないな、と吹っ切れています。

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この記事を一緒に紡いでいる藤木さんも僕も孤独なんです。みんな同じ、地球適合者です。

だからこそこれからの社会の変化で生まれるみんなの孤独感に寄り添い、優しく生きる道を一緒に探していければ嬉しいな、と思います。

まーきち

藤木さんの農園のサイトはこちら

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