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現場実習のリアル〜特別支援学校 高等部〜

特別支援学校高等部では、産業現場などにおける実習を行っています。私の勤務している学校では、現場実習という名称で呼ばれています。
高等部2年になってから年間に数回現場実習へいきます。1週間同じ事業所に行くことが多いです。

私も1週間生徒の現場実習に同行しました。

実際に生徒に同行してみると、とても大切な機会だと感じました。

実務と学習機会を掛け合わせることは、学びが深まるこれとない機会です。


◯現場実習で得られる物

学校とは違う環境で、しかもお仕事を行うわけです。初めての場所や人に極度の緊張を示す生徒にとっては一大イベントです。

将来的に働くわけなので、実践を通じて学ぶことや養われる力は計り知れません。

実習ではうまくいかないことばかりです。そのうまくいかなかった経験こそ大切だと思います。
パニックになってしまったり、動けなくなってしまったり、ミスをしてしまうこともあるでしょう。
そういった失敗があるからこそ慣れ親しんだ学校では気づけなかった課題を発見することができます。課題が明確になると学校での方針もより具体的になります。

逆も然りです。これまで発見できなかった長所も見つけられると感じます。

◯自立に向けて支援の量を年々減らそう!

就労継続支援B型事業所に実習にいく生徒の付き添いで行きました。いった先の事業所では約20名の利用者さんがいます。約20名の利用者さんに対して職員は3名です。
1名の職員が5〜7名を見ることになります。

利用者さんの中にはテキパキできる人もいれば、支援が必要な方もいらっしゃいます。

ここで言いたいのは、小学部から高等部にかけて教員の手がかかる度合いを減らしていくことの重要性です。

障害の有無に関わらず、子供たちが失敗しないように、人様に迷惑をかけないように先回りして手助けしたり助言してしまいがちです。
その場はそれでいいのですが、失敗しない代わりに子供自身の問題対処力が備わっていきません。
子供達自身が躓き、課題を感じて自ら乗り越えようとすることが自立に一歩ずつ近くなるのだと思います。

先回りについて説明している記事もあります。
ぜひ読んでください!

◯働きやすい事業所か?見極める機会になる!

事業所で教員も一緒に過ごすので、生徒の様子と合わせて事業所の様子もじっくりと見ることができます。しかも、おおまかなスケジュールはわかっていても細かいことまではわかっていません。その立場だからこそ、働きやすい環境なのか?教員の目でも見ることができます。

具体的に見るべき点としては、次にすることが明確にわかるかどうか?作業が行いやすいスペースの確保や環境が整っているか?です。

要は自分自身が働きやすいかどうか?という視点で見るといいと思います。
大人は周りの状況から推測することができますし、臨機応変に対応できてしまいます。生徒たちは周りの情報から推測することが難しく細かい指示を必要とすることがあります。臨機応変な対応が苦手な生徒もいますし、不器用な生徒もいます。大人では躓かないようなことでも大きな障壁となります。さらに、白黒思考のような偏った認知の生徒では、ちょっと失敗でも固まってしまったりします。
大人の立場ではなく、ちょっとした不明点でもスルーしないことが大切です!
配慮を要する人たちにとっても働きやすい環境が整えられているのか見極める必要があります。

ただ、支援者の数はどこも多くないのが実情です。個別の充実した支援を期待することは難しく、どちらかというと環境面での配慮や行う仕事内容の工夫がなされているか?ここが見るべきポイントだと考えています。

現場実習は生徒にとっても大きな学習機会ですが、教員にとっても生徒たちの将来の姿を想像したり、現在の課題に気づくことができる貴重な機会です。

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