見出し画像

ごみを拾える人材を大切にしなさい

ごみを拾える人材は大切した方が良い。
職場のごみを拾う人、拾わない人というのが善悪論として語られることがあるが、それは本質ではない。
問題の本質は、善悪論ではなく、一種の能力を保有しているかどうかだ。
今回は、ごみを拾える人材について書き綴っていく。

「ごみを拾う」というアクションをハックする

ごみを拾って、処分するまでの過程を解析してみる。

1.普段は無い、何かが有ることに気づく
2.近寄って、拾ってみる
3.落とし物かゴミかを判定する
4.ゴミなら処分する
5.落とし物なら、適切な対応を考え、しかるべき処理する

全てのはじまりは 1 だ。
違和感を感じ、何かが落ちていることに気づくこと。
多くの人は、これができない。

逆に、ごみが落ちていることに気づけば、殆どの人はごみを拾うはずだ。
たしかに、ごみの存在に気づいた上で、拾わない人は、良くない人材だ。
しかし、ごみが拾えない人は「ごみの存在を認知できない」というパターンであることが多い。

これは、善悪ではなく、認知能力の問題だと思っている。
この意識が抜けている人が多い。

ごみを拾う教育

職場にごみが落ちていることを認知した場合、自分で拾ってしまうのが一番手っ取り早い。
しかし、場所やタイミングによっては「ごみに気づけない」部下へ指導を行う必要がある。
その場合に「あのごみを拾え」と命令するのは、本質を正確に突いていない。
「あそこらへんにごみが落ちていたよ」と伝えなければいけない。
目的は「ごみを拾うこと」だけではなく「ごみの存在を気づくこと」だからだ。

私の経験上、このような教育は限界がある。
「ごみを拾う」という教育はできる。
しかし「ごみの存在を認知する」という能力は、教育ではなかなか伸びていかない。
だからこそ「ごみを拾える人」は、大切にした方が良い。

ごみを拾える人材が出世した話

ごみを拾うという行為は、誰かに集中することが多い。
そのエリアを利用する人の中で、特定の一人に集中していく。

その一人は、職場の違和感に気づくことに長けており、普段は無い、何かが有ることを認知する能力が高い。
その一人が最初にその場所を訪れた時、ごみを拾ってしまう。
他の誰かが気づく前に、その一人によって解決されている。

私の会社にも、とても優秀な「ごみを拾える人材」がいる。
彼女は高校卒業後、葬儀会社で働いていた。
その会社が廃業する時、その会社の社長から頼まれて、私の会社で受け入れた人材だ。

最初は、私の業務アシスタントとして働いてもらった。
その後、秘書ということになった。

彼女は、本当にごみに気づくことが多かった。
私もよく気づくタイプだという自負とプライドはあったが、彼女と比べて稚拙なものだと思い知った。

ある新事業を立ち上げた時、よく彼女へ相談事をした。
はじめての BtoC (個人相手)ビジネス事業だったので、BtoB(企業相手)ビジネスしか経験のない私の会社では、彼女の感性をとても頼りにしていた。
彼女は、ありとあらゆることに、よく気づく。
男性ばかりの幹部たちを相手に「2秒間の沈黙」をつくる発言をよくする。
もちろん悪い意味ではなく「良い気づき」による賞賛の沈黙だ。

2年後、その事業が少し安定したところで、彼女をその事業部の部長にしたいと考えた。
断られ続け、さらに1年後、めでたく部長就任となった。
彼女は、今でもその事業部で成績を出し続けている。

ちなみに、彼女が前に勤めていた会社の元社長とは、年間に数回程度、どこかで会う。
今でも、会う度に彼女を紹介してくれた礼を言ってしまう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?