喪失感というのは。
気づくと7月になっていた。
あまりの大雨と、初めてのワークショップ開催のせいで
水無月を食べるのを忘れていた。
実はあまり好みではないのだが、
子どものころからの習慣で
柏餅やおはぎと同じように
その季節には「食べなくてはいけないもの」の部類に入っている。
そういうものを買うために、季節ごとに行っていた
小さな和菓子屋さんがなくなっていた。
靴箱の上から下まで
私の足元を彩るすべてをお世話になっていた
老舗の靴屋さんが閉店することになった。
仲間や友だちと、ことあるごとに訪れていた
古くからある有名な餃子屋さんも締めたという。
よく足を運んでいた純喫茶のお店は、
まだシャッターが開かない。
日常が戻ってきたような気がしていたけど、
私が日常だと思っていたものは、失われていく。
さみしいとか、悲しいとか、
そういう感情は湧いてこない。
ただ、
喪失感というのは、
こういうことか、と知った。
失ったことと、得たことと。
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