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あなたのための短歌集

休職をしてすぐの頃、息をするのもしんどかった頃。

知人がある本の存在を教えてくれた。


木下龍也著『あなたのための短歌集』


依頼者からメールで届くお題をもとに作者が短歌をつくる。それを封書にして依頼者へ届けたものをまとめた一冊。


文字なんて読めないと思っていたのに、渇いた心がごくごくと一文字一文字を吸収していくのがわかった。


頑張らなくてもいいんだよと思える短歌をお願いします。

「もがくほどしずむかなしい海だから力を抜いて浮かんでいてね」

木下龍也著『あなたのための短歌集』040

 

人は生まれた時から、もしかすると生まれる前から不平等だと思います。でも、不平等だからこそ生きたいと思えるような短歌をお願いします。

「大きさも深さも違う花瓶にはそれぞれ似合う一輪がある」

木下龍也著『あなたのための短歌集』010


自分を否定することをやめて、一歩ずつ進んでいくための短歌をお願いします。

「きつく巻くゆびを離せばゆっくりときみを奏でてゆくオルゴール」

木下龍也著『あなたのための短歌集』001


一首一首があたたかく、私のために詠まれたかのような短歌たちだった。

今でも時々ひらいては、栄養をもらっている。


いまこの短歌たちを必要としている誰かに、また届くといいな。




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