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なぜ人は、鈍行電車の旅に憧れてしまうのだろう?

例えば、あなたが東京から名古屋に向かう旅行をするとします。
その場合、交通手段には何を選ぶでしょう?

普通の人でお金に余裕があれば新幹線、しかも「のぞみ」で行くでしょう。何かと忙しい世の中、目的地に早く着くに越したことはありません。

しかし世の中には「鈍行電車の旅」に憧れる幻想があります。僕も正直、その幻想は持っています。では、それはなぜでしょう?

この文章はそういった問いから、脳に刺激を与える読み物を目指していきます。

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著者 円子文佳(まるこふみよし)
Twitter https://twitter.com/maruko2344

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・徳島からの帰り道、神戸に寄ってみた

自己紹介をしておきます。僕はサッカーJ2の柏レイソルというチームを応援していて、今年はここまでアウェイの試合を全部見に行っています。

今年のJ2リーグは、北は山形から南は沖縄まで、全国津々浦々にチームが存在しています。それらを観戦に行くということは、日本国内で様々な旅行を体験するということになります。

先日は徳島で試合がありました。その時の交通手段ですが、往路は飛行機で試合当日の7/13昼に徳島入りしました。そして復路は、試合翌日の7/14にバスで淡路島を縦断して神戸に宿泊、その翌日の7/15に新幹線で神戸から東京に帰りました。

なぜ行きは飛行機、帰りはバスと電車になったかというと、ただ単に帰りの飛行機を取っていなかったからです。なぜ飛行機を取っていなかったかというと……。いつ帰るか、どうやって帰るか、それを決めきれなかったからです。保留しているうちに時間が経ってしまい、何となく新幹線の方が気楽だと思って、神戸経由で帰ることにしました。

しかしおかげで、久しぶりに神戸の旅行を堪能できました。神戸自体はこれまで何度も行ったことはありましたが、今回不意に訪れたことによって、懐かしい場所や新たな発見がいくつもありました。


・人生を旅になぞらえた時、特急と鈍行とは何か

さて突然ですが、人生についての話をします。

昔のサッカー選手による言葉に、「人生とは旅であり、旅とは人生である」というものがありました。

とはいえ多くの人にとって「人生」と対比できるほどの旅なんて、経験はないのではないでしょうか。一般的なサッカー選手にしても、小さい頃からサッカー漬け、プロ選手になっても練習や代表招集、短いオフも体のケアに気を使わなければならず、いわゆる「大旅行」のような旅を出来るイメージはありません。引退後はわかりませんが……。


ところで、もし人生が旅であるのなら、あなたは鈍行と特急のどちらを選びますか?

いやこの聞き方はあいまいですね。もう少しはっきりした質問にします。

もしあなたが今やっている仕事が、月給20万と200万だったら、どちらがよいですか?

この質問に対しては、ほとんどの人が200万を選ぶでしょう。仮に仕事の内容が全く同じなら当然、給与は多い方がよいですね。

特急・鈍行の問題も、この質問と同じ構図です。仮に全く同じ行程だったら、ほとんどの人が早く着く方を選ぶでしょう。

とはいえ前述の通り、「鈍行電車の旅」に憧れる人は世の中に多いです。そしてそれは、人生という名の旅においても同じです。

誰もがIT長者のような人生を目指しているわけではありません。別に結果的にIT長者になれなかったわけではなく、そもそも目指していない人の方が大多数であると思います。

その理由は様々でしょうが、人生の話はいったん置いといて、旅の話に戻ります。


・鈍行の旅のメリット=途中下車

特急に対して、鈍行ならではのメリットというのは、実はいくつかあります。そのうちの一つは、いざとなったら途中下車できるということです。

旅行において、目的地は決まっていたとしても、そこから先のプランが決まっていないことは結構あります。その時、途中下車できるというオプションを持っていると、旅の可能性が広がります。

今回僕が徳島からの帰路に飛行機を使わなかったことも、構図は似ています。旅程を決めきれなかったため、やむを得ず時間のかかる移動手段になったのですが、そのため途中で神戸に寄るという可能性が広がりました。

旅の目的を決めきれていない、途中で寄り道をしたい、そういう時は鈍行での旅にメリットがあります。例えば、東京から名古屋へ旅をする場合を考えてみます。旅先の食事として「名古屋で味仙の台湾ラーメンを食べる!」と決めている場合は、のぞみで向かった方が早く着くので便利です。

しかしのぞみに乗ってしまうと、途中の静岡で降りて「さわやか」のハンバーグを食べることは出来ません。そこに迷いのある状態でのぞみに乗ってしまうと、静岡を通過するときに「ああ、ハンバーグ……」などと考えてしまいます。人生のifですね。


・人生という名の旅において、特急から降りたい人

こういった鈍行のメリットというのは、人生という名の旅においても同じ要素があります。単に目的地に向かうだけなら早い方がよいのですが、誰もが人生について、目的地を決められているわけではありません。

そして、人生を特急で生きている人にも、似たような心境の人は多いです。誰もがうらやむようなスピード感で生きている人でも、実は途中下車したい人はいるのです。例えば今年、嵐が活動休止を発表しています。「自由な生活をしてみたい」というメンバーがいるということですが、僕はその気持ちがよくわかります。忙しくてプライバシーもない嵐のような生活なんて、本当に大変そうです。

そういう人生にあこがれる人にとっては、信じられない決断かもしれません。人生の目的が定まっている人だったら、特急で早く目的地に着いた方がよいでしょう。しかし旅の目的地を決めきれていない人が特急電車に乗っていると、途中の通過駅で迷いが生じます。人生においても、真ん中の静岡あたりで「そういえば、ハンバーグ……」と考えることはあるのです。そういう気持ちが、鈍行の旅への憧れの正体なのだと思います。

僕の人生の目標ですか?いつか賢者になりたいですね。勇者じゃなくて賢者。


以上、鈍行の旅と特急の旅の比較について考えた文章になります。本文は以上です。本文だけで完結する文章になっています。
この先はおまけ部分で有料になります。徳島から東京に帰る途中で寄り道した、神戸で出会った異常なお金持ちについての話などです。

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ちなみに、熱心な読者の方は気づかれたと思うのですが、今回の本文は先日の中村さんの文章に対するアンサー的な内容になっています。

何かに悩んでいて、その解答が指に引っかかってはいるけど引っ張り出せてはいないみたいな感じに受け取ったので、そのうちの一つを僕なりに引っ張り出してみたつもりです。他に二つほど引っ張り出しかけた内容があるのですが、例によって長文化しそうだったのでそちらはまたの機会にしようと思います。


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