マガジンのカバー画像

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説

39
フリムンという言葉は沖縄の方言で、バカ・愚か者という意味で使われる。この物語は、日本最南端の石垣島に生まれ、後に全日本空手道選手権大会を制する田福雄市氏の空手人生、そしてフリムン…
運営しているクリエイター

2024年5月の記事一覧

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第8話 暗雲編(4)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第8話 暗雲編(4)

【初来島】石垣島に、師範が初めて足を踏み入れる日がやってきた。

同好会初の審査会のためである。

何だかんだで会員数も爆上がりし、同好会ながら他の空手道場よりも活気に溢れていた石垣同好会。

しかし、流石にフリムンと同じく那覇で審査を受けさせる訳にはいかないので、師範の配慮により石垣島で受けられる事となった。

ただ、大変なのはフリムンの方だ。

那覇に行けば、諸先輩方が常に近くに居るが、石垣島

もっとみる
【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第9話 逆襲編(1)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第9話 逆襲編(1)

【死ぬこと以外はかすり傷】傍から見れば、順風満帆に思える空手ライフであったが、入門から僅か1年で引退に追い込まれるなど、先行き不安しか感じていなかったフリムン。

28歳になったばかりの若者に突き付けられた、余りにも酷なこの現実。

既にモチベーションを保つので精一杯だったが、安息の地へ逃亡するという選択肢はフリムンにはなかった。

「ここで逃げたら死ぬまで後悔する」

これまでも、そしてその先も

もっとみる
【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第9話 逆襲編(2)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第9話 逆襲編(2)

【ナースの♡お仕事】そのまま手術室に拉致られ、若いナースさんにいきなりズボンと下着を脱ぐよう命じられたフリムン。

「ま、またかよっ!( ̄▽ ̄;)」

あの骨折手術での悪夢が再び脳裏を過ったが、既に彼の下半身は生まれたままの姿となっていた。

しかも、今回の手術は足ではなくデリケートゾーンだ。

その恥ずかしさたるや、あの「ムスコッティ鷲掴み事件」とは雲泥である。

早速、初対面のナースさんの前で

もっとみる
【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第9話 逆襲編(3)

【自伝小説】最南端の空手フリムン伝説|著:田福雄市@石垣島|第9話 逆襲編(3)

新道場この頃から、入門者が増加の一途を辿り、道場に入りきらなくなってきたため建て直すことを計画していたフリムン。

そのキッカケを作ってくださったのが、義叔父(ぎしゅくふ)に当たるAおじさんであった。

沖縄サミットで使用されたプレハブが安く販売されていたのを受け、Aおじさんが購入手続きをしてくださった。

そして、道場の建設工事を請け負ったのは、当時業界でその名を馳せていた義理のお父さんであった

もっとみる