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海辺の町に

今朝Tokyoのふとんの中で目覚めて、このまま扉を開けて浜へ歩いていけたらどんなにか幸せかなあと思った。昨日歩いた海辺の町が、胸のうちがわから足先へさざなみになって広がって、砂を踏むひんやり柔らかいあの感触が、ひどく懐かしくなったから。

いつか海辺の町に家を借りて住もう。あなたは漁師になってくれたらいいなあと、彼に言って、なのに私たちはそんな、あのとき生きていた世界から逃げたいような夢を見ながら、アメリカに行ったり、赤ちゃんを産んで育てたり、その赤ちゃんがおとなになって、運転してくれて、バンの中でティシュボックスに小さなうんちをしたむかしの一才児もいっしょに、Tokyoからつかの間のハワイに来たような不思議な一日だった。


たぐるでお蕎麦を食べた

行きたかった極楽寺駅の手繰で、美味しい美味しいお蕎麦と天麩羅をいただいた。迷いながら子育てしたかつての赤ちゃんたちと、夢見ていたおそばの手繰に来れたのも、幸せだった。


赤ちゃん育てや幼児育ては、なんだかその時は永遠につづくような気がしていたのに、なんと人生は速いこと。いつのまにか、こんな日が来たとはね。幸せだよ。ほんとうにね。ありがとうね、優しいこどもたち。海の町はやはり良いね。波の音、海からだけ感じられる風。そこに暮らす人。すべてに身体中が喜んだよね。


ハワイはパラダイスだと言いますが、ハワイにもあなたの日本と同じように喜びも苦悩もありますよ、とカカアウのポロルのSteven牧師さんが話していたのを思い出す。そうだよね。わかりますよその意味が。生きるってそういうことですね。


それでもやはり、海辺の町はいいな、海の町にいちどは住みたいなと、かつての赤ちゃんたちとわたしは、昨日話したのですよ。海は身体に懐かしく、風は胸に幸せを、しゅるしゅるとしみこませてくれて、それから、私たちはTokyoにまた帰って行ったのです。