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シリーズの中で桁違いの迫力!邦画史上最も圧倒されるVFXで描かれるゴジラに生きることをあきらめたくなるほどの絶望を感じた『ゴジラ-1.0』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:10/152
  ストーリー:★★★★★★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★★★★★★★

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:東宝
 上映時間:125分
 ジャンル:アクション、パニック
元ネタなど:映画『ゴジラ』シリーズ(1954-)

【あらすじ】

※映画.comの文章を元に記載。
舞台は戦後の日本。太平洋戦争によって焦土と化し、何もかもを失い、文字通り「無(ゼロ)」になった日本に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。

ゴジラはその圧倒的な力で日本を「負(マイナス)」へと叩き落とし、人々を絶望の底へ追いやる。

戦争を生き延びた名もなき人々は、ゴジラに対して生きて抗う術を探っていくー。

【感想】

国産の実写版『ゴジラ』シリーズ第30作目であり、ゴジラ生誕70周年記念作品となる映画です。自分は凝り性なところがあるので、今までほとんどスルーしてきたゴジラ映画全29作品をすべて観てから臨みました(笑)Huluに入れば全部見放題なのでよかったらぜひ!こういう昭和から始まった特撮映画は、みんな(特に昭和世代の方々)それぞれ思い入れがあると思うので、何を作っても賛否は出ちゃうんですけど、全部観たからこそ、僕は今回の映画が一番好きだと声高らかに言えます。今回、シリーズで最も古い時代を描いているので、過去作との繋がりはありませんが、1作目へのオマージュと思われるシーンもあって、今回初めてゴジラを観る人も、今までずっと観てきた人も両方楽しめる作品だと思いました。

<ヒューマンドラマをベースにした構成がよかった>

この映画で僕が一番強く感じたのは、人間ドラマとゴジラとの戦いのバランスがよかったことです。いわゆる昭和シリーズは方向性や設定がバラバラで試行錯誤感が強く、平成シリーズとミレニアムシリーズは怪獣同士の戦いがメインで、そこにおまけ程度のヒューマンドラマを乗っけた作品が多い印象でした。怪獣同士の戦いになると、基本人間はもう傍観してるしかないんですよね。もちろん例外はありますけど。逆に『シン・ゴジラ』(2016)では、ゴジラはほぼ飾りのようなもので、未知の巨大生物にどう対応していくかというお役人さんの苦労に焦点を当てたヒューマンドラマ色の強い作品だったように思います(僕はそこまで強くハマれませんでしたが、まわりの人は大絶賛でしたね)。

それに対して本作は、戦争で暗い過去を背負った敷島浩一(神木隆之介)の苦悩や葛藤がベースにあって、そこに1作目と同じように突如現れた災害や天災といった「人智を超えた存在」としてのゴジラが現れるという設定です。そんなゴジラに対し、限られたリソースで知恵を絞って抵抗する人々を描いているから、ヒューマンドラマと怪獣映画のバランスがよかったと感じました。なので、今回は「ゴジラとは何か」みたいな研究対象としての深掘りはありません(戦後にそんな余裕もないでしょうけど)。ゴジラが何なのかは誰もわかりませんし、誰も調べようともしませんが、ただもう倒さないと明日がないという認識だけは一致してるので、その絶望を乗り越えることに必死です。その人間ドラマの部分が薄っぺらいという声も見かけますが、過去作と比べたら十分すぎるほどにゴジラと戦う動機になり得ていると僕は感じました。

あと、本編とは関係ないんですが、敷島の娘が自分の子供と近しい年齢だったこともあり、ちょっと泣けてしまうところもありましたね。厳密には敷島の娘ではなく、大石典子(浜辺美波)が死にゆく母親から託された子供だそうなので、血の繋がりはどちらもないんですけど、見た目上はもう親子かつ家族ですから。でも、そういう事情の人、当時は他にもいたんでしょうね。戦争孤児と言いますか。「自分はもうダメだから、この子をお願いします」って見ず知らずの人に託して。戦争の混乱で記録とかも残せず、そのまま自分の子として育てて。真実を告げないままの人だってゼロじゃないでしょうから、本当は血の繋がりがないのに知らず知らずのうちに血縁として扱われているっていうケースもあるんだろうなって。映画と全然関係ないですけど、そういう昔のことに想いを馳せたりもしてしまいました。

<邦画史上最もクオリティの高いVFXに圧倒される>

この映画の真骨頂といえば、ハリウッド映画にも引けを取らない圧倒的なVFXじゃないでしょうか。長らく邦画のVFXにはチープさを感じていましたが、今回はもともとVFX畑出身の山崎貴監督ということもあり、ゴジラ史上、いや邦画史上最も迫力ある最高の映像体験が得られました。初めてですよ、ゴジラを目にして「ああ、もう終わりだ。。。」って思ったの。戦後の復興もままならない中、次々に壊される建物や踏み潰される人々。さらに、ゴジラの発する熱戦(そのときのギミックもかっこいいんです!)は、歴代の中で一番破壊力あるんじゃないですかね。銀座の街でそれを放ったときのあの光景、それはまるで原爆のようでしたから。。。一瞬にして街が瓦礫の山になったあのシーンはもう絶望しか感じませんでしたね。。。

<そんなわけで>

とにかく映像が凄まじくて、それだけで大満足なぐらい楽しめる映画でした。絶望の象徴であるゴジラを、兵器も十分でない時代にどうやって倒そうとするのか、そこはもうぜひ映画館で観てください!ここぞというときにおなじみのテーマ曲も流れるので、その絶妙なタイミングも推しポイントです。あと、もしお近くにあればIMAXで観ることをオススメします。映像も音もこれ以上ないぐらいの迫力ですし、ゴジラの咆哮で振動がビリビリ全身に伝わってきて臨場感がハンパないですから!


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