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監督のフィルターがかかりまくってると感じたドキュメンタリー映画『東京2020オリンピック SIDE:A』

【個人的な評価】

2022年日本公開映画で面白かった順位:70/80
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【ジャンル】

ドキュメンタリー

【元になった出来事や原作・過去作など】

・イベント
 東京2020オリンピック競技大会

【あらすじ】

2021年に開催された東京2020オリンピックの公式映画として製作されたドキュメンタリー2部作の第1作目。

1964年以来の東京での開催が決まった第32回オリンピック競技大会。しかし2020年3月、新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により、近代オリンピック史上初の延期が決まった。

そして2021年7月23日、コロナ禍は未だ収束せず、開催に賛否両論が叫ばれる中、1年遅れの開会式が実施され、オリンピック史上最多となる33競技339種目、17日間にわたる大会がついに幕を開ける。

無観客になるなど異例づくしとなった大会と、その開催に至るまでの750日、5000時間に及ぶ膨大な記録をもとに、2部作の1作目となる「SIDE:A」では、表舞台に立つアスリートを中心としたオリンピック関係者たちにスポットを当て、彼らの秘めた思いと情熱、そして苦悩を映し出す。

【感想】

東京オリンピックの知られざる舞台裏を描いたドキュメンタリー映画。この「SIDE:A」では主にアスリートの視点から描かれています。

これ、レビューサイトの評価がものすごく低いんですよね。それ以前に、そもそも劇場がスッカスカなのもびっくりなんですが。みんな、もうオリンピック興味ないんですかね。僕が思っている以上に、オリンピックってそのときだけしか盛り上がらず、終わった後は見向きもされないのかな。。。まあ、僕自身もスポーツをするのは好きだけど、スポーツ観戦には興味がなく、オリンピック自体も自分がやっている競泳の短距離しか観ていませんが(笑)このドキュメンタリーも「映画好き」だから観に行っただけです。

<ドキュメンタリーとしては一貫性が弱く感じられる>

実際の内容としては、個人的には悪くないと思いました。ただ、かなり広く浅くって感じですね。そりゃ5000時間の中から2時間抜粋しなくちゃいけないから、ひとつひとつ深掘りするのは難しいなとは思いますけど。とはいえ、内容がツギハギすぎて、何を伝えたかったのかがイマイチわかりづらかったってのが正直なところです。

流れとしては、何人かの選手をピックアップしてインタビューしていく形です。それ自体は普通のドキュメンタリー映画って感じなんですが、特にナレーションがあるわけでもなく、脈絡なく次から次へといろんな人が出てくるので、切り貼りした感じがものすごく強いんですよ。もちろん、それが悪いっていう話ではないんですが、ドキュメンタリーってひとつのテーマを深掘りしていくものだと思っていたので、そういうのを期待しているとちょっと違うかなーって。まあ、シリアから亡命した選手や、母親とアスリートを両立している選手など、こんな人がいたんだっていう新しい発見はありますけどね。といっても、彼らも東京オリンピックだから云々、コロナだから云々というよりは、それぞれの想いがあって参加しているっていう感じなので、別にこの大会ならではっていう感じではあまりないんですが。

<監督フィルター>

このドキュメンタリーで特徴的だなと思ったのは、男性よりは女性に焦点が当たっていて、かつ母親とアスリートを両立している人に尺が割かれていたことですかね。特に印象に残ったのは女子バスケのカナダ代表キム選手です。母親であることを誇りに思うと同時に、アスリートとしてもあきらめたくないと、家族と東京に来ていました。ちょうど子供が生まれて母乳育児中だったんようですが、新型コロナウィルスの影響で東京大会への家族帯同が禁止されていた中、要望書を提出して、家族帯同を認められた方らしいです。

逆に、同じ女子バスケで元日本代表の大崎選手は、大会が1年延期したことで競技と育児の両立を考えた結果、引退という道を選んでいるんですよ。この両者の対比は心に残ります。当然、どちらが正しいってことはないですが、同じ競技に身を投じ、同じ時期に育児をしていた中で、真逆の決断を下した2人ですから。

この2人に尺が割かれているのは、河瀨直美監督自身もかつて映画製作と子育ての両立を経験したからじゃないかなって思います。その2人が女子バスケ選手っていうのは偶然かもしれませんが、調べたら監督自身も高校時代にバスケで国体出場の経験がある上に、今ではバスケットボール女子日本リーグ会長にも就任しているんですよね。だから、ここは監督本人も思い入れがある部分なんじゃないかなと。そういう意味で、監督のフィルターがかかりまくってるって感じましたけど。なんとなく、ドキュメンタリーって事実を客観的に伝えるものだと思っていたので、ここまで監督個人の想いが出ているのはちょっと意外でした。

<少なかった競技シーン>

これ、アスリートの視点で描いている割には、予告にあるような実際の競技映像はちょっとしかないんですよ。その数少ない競技シーン、やっぱり映画館の大きなスクリーンで観ると迫力が違いました。どうせなら競技シーンをもう少し観たかったんですが、、、今後、映画館はオリンピックのライブビューイングをやってもいいと思います。

<そんなわけで>

よくも悪くも「監督らしさ」が出ている映画でしたね。ただ、いろんなエピソードをかいつまんで切り貼りしてあるだけなので、ドキュメンタリーとして観るとちょっと薄い感じはします。

それにしても、なんでこんなに人が入らないんでしょうね。公式映画ならもっと宣伝に力を入れてもいいのではって思います(大人の事情は知りませんがw)。


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