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『カントリーロード』がない時点で耳をすますどころか耳をふさぎたくなった『耳をすませば』

【個人的な満足度】

2022年日本公開映画で面白かった順位:142/152
  ストーリー:★★☆☆☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★☆☆☆

【作品情報】

  製作年:2022年
  製作国:日本
   配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、松竹
 上映時間:114分
 ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
元ネタなど:漫画『耳をすませば』(1990)
      アニメーション映画『耳をすませば』(1995)

【あらすじ】

読書が大好きで元気いっぱいな中学生の女の子・月島雫(安原琉那)。彼女は図書貸出カードでよく見かける、ある名前が頭から離れなかった。天沢聖司(中川 翼)―――全部私よりも先に読んでる―――。どんな人なんだろう。

あるきっかけで“最悪の出会い”を果たした2人だが、聖司に大きな夢があることを知り、次第に惹かれていく雫。聖司に背中を押され、雫も自分の夢を胸に抱くようになったが、ある日、聖司から夢を叶えるためイタリアに渡ると打ち明けられ、離れ離れになってもそれぞれの夢を追いかけ、また必ず会おうと誓い合う。

それから10年の時が流れた1998年。雫(清野菜名)は、児童書の編集者として出版社で働きながら夢を追い続けていたが、思うようにいかずもがいていた。もう駄目なのかも知れない―――そんな気持ちが大きくなる度に、遠く離れたイタリアで奮闘する聖司を想い、自分を奮い立たせていた。一方の聖司(松坂桃李)も順風満帆ではなかった。戸惑い、もどかしい日々を送っていたが、聖司にとっての支えも同じく雫であった。

ある日、雫は仕事で大きなミスをしてしまい、仕事か夢のどちらを取るか選択を迫られる。答えを見つけに向かった先は―――。

【感想】

これは原作の漫画よりも、ジブリのアニメの方が有名ですかね。ファンタジーな作品が多いジブリの中では珍しく純愛映画ですよね。昨日、復習のためにそのアニメ版を観てから本作に臨みました。が、本作については個人的にはまったくハマれませんでしたね。。。ちなみに、漫画版は読んだことはありません。

<配役はよかった>

最初によかったところを書いておきましょう。配役についてはすごくよかったと思います。10年後、確かにこの人たちだなあって思えますから。メインの2人もそうですが、僕の中では杉村を演じた山田裕貴さんがけっこうハマり役だなって思いました。ご自身も野球をされていたそうなので、まさにうってつけの役ですね。

強いて気になったところを言えば、雫のお父さん。黒ぶちがメガネをかけていてほしかったですね。。。あれトレードマークじゃないですか。今回、メガネなしだったので、ちょっと残念でした。

<主題歌変更の拒否感>

耳をすませば』といえば、やっぱり頭に思い浮かぶのは『カントリーロード』ですよね。もうね、映画の顔ですよ、この歌。それが今回ないんです。。。(泣)『翼をください』に変わってしまって。。。権利の関係だったり、10年後の雫と聖司の状況を踏まえてだったり、理由はいろいろあるかもしれません。でも、この映画はやっぱり『カントリーロード』でしょうよ。もちろん、『翼をください』もいい歌だし好きですけど、、、『カントリーロード』は取って代わられていいものじゃないよなあと思いましたね。

<10年経ってもやることが変わっていない>

主題歌が変わっても、「あ、これは確かに『翼をください』じゃないとダメだ」という強い整合性があるならまだいいんですよ。それすらもあんまり感じられなくてですね。結局、聖司は10年間イタリアでがんばってチェロを弾いて(そこもヴァイオリンから変わってるんですが)。雫は夢を追いつつ、うまくいかない日々にモヤモヤしていて。夢をあきらめそうになったところで、聖司に背中を押されて「あたしやっぱりがんばる!」という。あれ、10年前とあんまり変わってないぞ?という印象でしたね(笑)そりゃ、実際人間なんてそんな変わるものではないですけど、映画で10年経って、しかも名作の続編ときたら、そこはやっぱり変化が欲しくなるわけですよ。

<作品のポジションが曖昧>

これ、そもそも続編なんですかね?っていう疑問は正直あります。10年後の世界を舞台にしてはいますけど、過去の回想でアニメ版のシーンもけっこう再現されているんですよ。なんか、単純な実写化と続編のハイブリッド的な感じがして。それはそれでアリだとは思います。だって、アニメ版の内容を知らなくても、この映画だけで完結できるような工夫にはなっていますから。

ただ、逆にアニメ版を知っている人からすると、ちょっともどかしい気持ちにもなるんですよ。10年後の世界については、アニメ版とは別物として扱いたい気もするのに、途中に差し込まれるアニメ版の再現によって、別物と思いづらくなってしまいますから。

やるなら原作に沿った実写化、もしくは回想シーンを極力なくして10年後の世界だけでやっていく。そのどちらかの方が作品として立ち位置はハッキリしたんじゃないかなあと個人的には思いました。今のままだと昔と今、どちらに比重が置かれているのかわかりづらいんで。

<そんなわけで>

配役自体はピッタリだったんだけど、世界観の設定やストーリーがいろいろ気になる映画でしたね。アニメ版が好きな人からしたら余計にそう感じるかもしれません。まあ、それだけ元の作品が愛されているっていうことですから、その実写化にあえて挑戦したのはすごいと思います。


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