あらんとおーれ

宝塚・西宮、地元のランドスケープを、小さな庭から拡げる。化学素材の研究を10年と、庭に…

あらんとおーれ

宝塚・西宮、地元のランドスケープを、小さな庭から拡げる。化学素材の研究を10年と、庭に全く縁のない生活を送っていたのに2017年に植物に目覚める。とある施設でガーデナーとして働いています。小さな花壇から、大きなお庭まで、様々な庭を創りつつ、ランドスケープについて書いていきます。

最近の記事

原風景の断片

心の中の原風景をお手本に庭をつくっている、というガーデンデザイナーやランドスケープデザイナーは多いと思う。 私は、住宅街のマンションで育ち、雑木林や草原、沼地などで遊んだ経験がほぼない。というか記憶がない。いわゆる原風景が失われた世代、土地の子供だったのかもしれない。 親世代の原風景の話を聞く度、自分がなんとなく根無し草のような、大切なことをすっ飛ばして大人になってしまったような、劣等感をうっすら抱いていた。 マンションの生け垣のアベリアやコニファーの中をくぐったり、下

    • 家庭という言葉

      『家庭』という言葉に『庭』という字が入っているのは不思議だと、時々ふと思う。 家庭と家族は違う。私にとっては、家族は人に焦点、家庭は場とか状態に焦点が当たっているイメージ。 『家庭』に『庭』が入っている理由。 それほど、家と庭は切り離せないのだろうか? 現代を振り返ってみると、家庭生活は、ぱっと思いつくもので料理、団らん、休養など、家の内部で行われ、完結することが多い。また、マンションなど庭なしの家も多く、庭があったとしても、家の外周程度の役割の場合も多い。よって、『家

      • 奥深きマルチングの世界

        今回は、奥深きマルチングの世界について… マルチングとは、露出した土を様々な資材で覆うことで、 ・地温を安定させる ・保水・調湿 ・防草 などの効果があると言われており、 結果的に、 ・土の質をよくする ・生態系が豊かになる などの効果を発揮し、庭空間を向上させます。 数年いろいろと取り組んできて、マルチングがうまく行くと、植物が生き生きしてくることを確信しています。 植物が生き生きとしている庭は、それだけで心を打たれます。正直、生き生きしていれば、好み

        • 庭における抽象表現

          庭を考える軸として、『具体と抽象』が重要であるとこが分かってきた。 きっかけは、先日訪れた銀閣慈照寺。 そこで得た感覚は、『日本庭園を観賞している』ではない。 屋久島の森、近所の森、室町の京都、月面着陸、宇宙への入り口。一つの具体的なイメージ(視覚)から紐づけされる記憶だけではなく、自分の体を通して色々なものにつながっていく、心の扉が次々と開いていくような感覚だった。 体感的なことを掘り返して分析するのは野暮かもしれないが、これは銀閣寺という場が、抽象で構成されている

          土中環境に思いを馳せて、アナベルの植え替え

          カツラの根元のアナベルの調子ここ数年悪く(ひょろひょろ、株に勢いがない)、掘り上げてみて原因調査などしました。 カツラの根が表層にたまりガチガチになっている感じではないものの、掘り上げたりアナベルの根はかなり荒く、細根が少ないように感じました。カツラも根上がりしているので、やはり水が下に浸透していないのではないかと思い、色々と対処してみました。 とはいえ、もう植栽を大々的に変えることはできないし、深く耕すとカツラの根も傷つけてしまいます。 アナベルの荒い根・カツラの根上

          土中環境に思いを馳せて、アナベルの植え替え

          落ち葉でマルチング

          秋に落ち葉をためておき、庭仕事に余裕が出てくる冬にマルチングの作業をします。 マルチングは植栽部を資材で覆うことを指し、保湿、保温、土壌改良の効果があり、草花が元気になります。 マルチングの資材は何でもよく、バークチップ、バーク堆肥、腐葉土、砂利などがよく使用されますが、最近は落ち葉を利用しています! 落ち葉を、木や草花の周りにただ置いておいても、飛ばされてしまったり、分解があまりにも遅い場合があるので、一工夫したマルチング方法を紹介します。 ①マルチした落ち葉の上に

          落ち葉でマルチング

          梅雨前の庭仕事

          梅雨前にしておく庭仕事を紹介します! 雨が降って思うように庭仕事ができなくなる前に、ムシムシした時期に備えましょう〜! ①ハーブの収穫と利用 蒸れ防止も兼ねてなのですが、繁茂してきてハーブは収穫も兼ねて一度切り戻してしまいましょう。例えばドクダミ、レモンバーム、ミント、ローズゼラニウム。増えすぎたもや、特に込み入って蒸れそうなところは、抜去します。天気の良い日に行い、水洗いするとすぐ乾くので、そのままドライにしたり、チンキにしたりしておくと利用できます。私は、お茶用にドラ

          梅雨前の庭仕事

          土中環境③

          土中環境の造作を自分なりに試行錯誤しながらやっています。セミナーなどにまだ参加したことがないので自己流のところもありますが、その分、庭と真正面から向き合ってる気もします。 結果、庭の空気感・水はけ・植物の生き生きした感じ、かなり変わってきています! 今回は、冬から春にかけてやったきたことを、まとめてみたいと思います。 ①構造物の横溝&縦穴(点穴) 一番詰まりがひどい、隣家との境界の塀脇に横溝深さ20cmを掘る。点穴も35〜50cmほどを1m間隔くらいで。 こちらは表

          土中環境②

          土中環境①で書いたように、絶賛穴掘り中です。 高田さんの『土中環境』には、たくさんの造作の実例が挙げられており、それを見様見真似で始めているところですが、そんな中で深く体感したことについて、今日は書いてみようと思います。 庭から出るものにゴミはない庭から出るものにゴミはない。これが、試行錯誤で造作をしながら体感したことです。 文で書くとなんだそんな簡単なことかと思うのですが、これは今の常識に照らせば天と地がひっくり返るようなことだと思います。 今の社会で、『様々な目標や

          土中環境①

          高田造園の高田宏臣さんの『土中環境』という本を読んで、自分の庭の土中環境改善に取り組んでます。 今までも、植物を植えるときになんとなく土壌改良したり、地表部は腐葉土やバーク堆肥でマルチングしたりと、土のことに関する取り組みはしてきました。 でもその手入をするピンポイントでしか土を見ていなかったなぁと反省しています。 土地全体としての空気と水の流れに着目し、庭自体が健全に、一つの生命体かのごとく、呼吸し循環するように設えられれば、もうそれはパワースポット! 今回は塀際横穴

          乙女必見!落葉樹の植え付けのコツ

          落葉樹の植え付け作業も大詰めを迎えてきました。 木の植え付けは、やはり大仕事。  低木まではまだしも、中高木以上となると力に自信のない私にとっては、抵抗感のある作業でした。 最初、自分の庭を造り始めた頃、植え付けは庭師さんに頼んでいました。しかし、気に入った木を購入するたびに庭師さんを呼ぶのも大変で、仕事でも高木を植える場面が増えていき、徐々に自分でやるようになってきました。 慣れないうちは、本当にクタクタになって、『もう絶対自分でこの作業はしたくない』と思うトラウマレ

          乙女必見!落葉樹の植え付けのコツ

          梅雨の庭仕事

           今年は既に梅雨に入ってしまいましたが、梅雨前もしくは梅雨前半にはしておきたい作業をまとめておきたいと思います。  雨がまとまって降り暑さが本格化する前に、やっておきたい庭仕事です。 ・球根類掘り上げ  原種以外のチューリップ、サフランなど、葉が黄色くなったものはこれ以上光合成をして球根を太らすことはないので、このタイミングで掘り上げます。植えっぱなしだと、球根が腐りやすくなります。  掘り上げたものは、泥を落とし、乾燥させたあとに、風通しの良い容器や袋に入れて保存します

          梅雨の庭仕事

          立春の庭仕事

          いよいよ暦上は立春をすぎました。寒い日もあるけれど、なんとなく太陽が柔らかく感じて、冬のパリッとした空気感がなくなっているような気がします。 まだ寒い日もあり、あまり庭仕事がなさそうに感じる2月ですが、実はやることはもりだくさん。それに、意外と大仕事も多く。。。何かとバタバタしているうちに私は腰をいためました(T_T)庭仕事は自粛中です。 庭仕事もちゃんと休憩をとって程々に、、ですね〜 立春の庭仕事 ・落葉樹の植え替え、植え付け 休眠中の落葉樹の植え付け適期です。私は掘る作

          立春の庭仕事

          小寒・大寒の庭仕事

          年明けからパタパタと日がすぎ、暦は5日に小寒を経ました。先日17日には土用入りし、今、土の中の季節は冬から春へと変わりつつあります。そして明後日20日は大寒という最も寒い時期を迎えます。この寒い時期はあまり庭仕事はないだろう・・・と思いきや、大仕事が多く割と忙しい時期なのです! 真冬の庭仕事・・・ ○つるバラの剪定と誘引 バラの中でも特につるバラは、枝が柔らかい1月中に剪定と誘引済ますとよいらしいです。それにしても、つるバラ初心者にとっては、なんともややこしい剪定と誘引。

          小寒・大寒の庭仕事

          葉牡丹に対する複雑な心境

          この季節になると、はなやかなお花といえば、ビオラ、シクラメン、アリッサム、ハボタン。。型を押したように。。 数年前までは、そこまで冬に花を見ないでもいいや、、といえスタンスでしたが、仕事で仕方なくこれらの花々と向き合ううちにその魅力にジワリジワリと気づき始めています。いや、ビオラってこんなにかわいかったんか!シクラメンの葉っぱの可愛さよ!! その中でもどうしても、正月に使い捨てられていくイメージのハボタンには、全く興味がありませんでした。最近は、ニュアンスカラー、アンティ

          葉牡丹に対する複雑な心境

          冬至の庭仕事

          ここ最近になって、ぐっと冷え込んできましたね。 宝塚でも最低気温がマイナスの日もでてきました。 年内には終えておきたかった作業ですが、ようやくチューリップを植え終わりました。 これからは寒さに備えた作業、剪定、寒肥などが主だった庭仕事になってくるかと思います。 近所の家々で、庭の手入れに庭師さんが剪定作業をしているところをよく見かけます。さっぱりして年始を迎えるには今の時期ですが、私は繁忙期をすぎた年明けにゆっくり頼みたい派です。 冬至の庭仕事は・・・ ・クリスマスローズ

          冬至の庭仕事