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『人生は「2周目」からがおもしろい』を読む

本日の読書感想文は、齋藤孝『人生は「2周目」からがおもしろい 50歳から始める”知的向上感”の育て方』(青春新書2019)です。今の私の境遇と感性にピッタリとくる本に出遭えた喜びに包まれた熱意が伝わるよう、テンションを上げて書きます。

齋藤孝先生、お世話になっています

本書の著者、齋藤孝氏は1960年生まれ、明治大学文学部教授。幅広い分野に精通され、著書も多数です。私は齋藤先生の切り口と語り口が好きで著作をよく読んでおり、noteでも何冊か先生の著書の感想文を書いています。

温和な雰囲気と清潔感のある容姿で、各種メディアでも活躍されています。ただ、著者『孤独のチカラ』によると、若手研究者時代は、真価が発揮できない状況に悶々としていた経験を持ち、内面にダークサイドのようなものも抱えている、という趣旨のことを書かれています。

陽性の爽やかなイメージのある人だと思っていたので、意外でした。屈折した不遇時代を乗り越えて、現在の地位を築かれているところに惹かれます。

人生の「2周目」

本書の存在を知って、amazonで即注文しました。本書で語られる『人生の2周目』への向き合い方は、私が「人生後半戦」「二毛作目」で目指している50歳以降の生き方と呼応します。

私は人生前半戦をポジティブに捉えた上で一区切りをつけ、50歳を過ぎてからのまた違った「人生後半戦」を目指して転進を図ったと自分に言い聞かせています。ただ実際の所は、本書で齋藤先生が記された「うつの雑草」が心に中に急速に伸び始めていた自覚もありました。

本書には、私が適切に言語化ができず、心の奥底に抱え込んできたネガティブな気分が的確に説明されていました。もしもあのまま、悶々とした気持ちを抱えて会社員生活を続けていたら、今頃はもっと面倒な状態に陥っていたかもしれません。

齋藤先生が提示される考え方は、私の考えているものと似通っており、共感できて、心強く感じます。揺らぐ気持ちを安定させるのには十分でした。とても現実的な症状分析と実践的な処方箋の詰まった書です。

向上感

本書を読了した時には、貼った付箋で一杯になっていました。本書の要約は、「はじめに」の以下の文章に凝縮されています。

学ぶことのおもしろさと価値を知り、そこから仕事やお金、地位、教養、人間関係、旅など、人生を「1週目」とは一味違った視点から見直す「フェアの審判力」を磨き上げ、仕事やいろいろなことに新鮮な好奇心や感動、向上感をもって挑むことができるようになる。それが「2周目」なのです。(P7)

「2周目」を、「1周目」の価値観のままに生きると、人生はハード・モードです。他者からの承認欲求に重きを置き続けるのは、しんどい生き方です。50歳を超えて何者でもない自分に、他者が高い社会的価値を与えてくれる可能性などありません。それが冷徹な現実であり、この現実を直視しておかないと、心が再びうつの雑草に蔽われることになります。

齋藤先生が「向上感=審美眼に基づく高まりたい気持ち」と表現する感覚は大事です。自分の大切にしている価値観をベースに、自分自身を認めて満足するのが人生の「2周目」を生きる者の豊かさに繋がります。

何度でも戻ってこよう

本書を読んで得た深い納得感は、数時間後には薄れ、数日経てば完全に消えていくでしょう。読了した数日前には、興奮でワクワクしていたのに、既に中身がぼやけてきています。

本書の存在を覚えておいて、何度でも本書に戻ってきます。熟読を繰り返して、エッセンスを何度も沁み込ませます。完全には捨て去れていない人生前半戦(人生の「1周目」)の闇の記憶を乗り越えます。

そして、私の人生後半戦(人生の「2周目」)を豊かにするため、心のメンテナンスを欠かさず、きちんと努力を続けます。

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