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『仕事選びのアートとサイエンス』を読む

本日ご紹介するのは、山口周『仕事選びのアートとサイエンス』(光文社新書 2019年)です。

著者の山口周さんは電通(広告業界)からボストンコンサルティンググループ(コンサルティング業界)に転身され、現在はコーンフェリーのシニアパートナーで活躍中で、多くの著書があります。

本書は、「幸福になるための仕事選び」をテーマにした書です。VUCAの時代を生きるビジネスパーソンが、自分らしい幸せな職業人生を歩むための「考え方」や「習慣」を、自身の体験も交えて解説してくれています。

V=Volatility(不安定)
U= Uncertainity(不確実)
C= Complexity(複雑)
A= Ambiguity(曖昧)

VUCA時代は、ビジネスキャリアに明確な勝ちパターンはなく、論理的で合理的な仕事選びのアプローチが有効ではなくなってきている、と言います。

第一章の「ルサンチマン」を扱った部分はかなり面白かったです。転職の目的は充実した職業人生を送ることにありますので、その目標を達成する手段としての転職は否定されるものではありません。

新卒で就いた職種や就職した会社が本当に自分にとって幸せな選択になっているのか確認する意味で、

30歳くらいで雇止めにして、1~2年くらい遊ばせた上で、再度自分が30~40代を過ごす会社・職業を選ばせるというような仕組みにしたほうがいい

という著者の意見に賛成です。職業・会社選択のミスマッチを早めに修正できることで、会社、ビジネスマンの双方にメリットがあります。折角の人生を台無しにしない確率が上がるように思います。

第四章の「世界三大幸福論」~ラッセル、アラン、ヒルティの「幸福論」~が、幸福になるための大事な要件として、いずれも「仕事をすることが大事」と指摘している点は、仕事をしなくても幸福になる方法はあると思うので、個人的には異論があります。しかしながら、仕事を通して、
● 世の中に確固とした価値を提供している
● 誰かの役に立っている
● 必要とされている
という実感があることが、精神の健康と健全性を保つ為には必要である、というのは同感です。

他にも色々勉強になる部分が多い書でした。

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