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『コロナ後の世界』を読む❺

本日の読書感想文は、『コロナ後の世界』❺ー新型コロナで強力になったGAFA by スコット・ギャロウェイ(P140-168)です。

【目次】
❶ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』の著者
❷マックス・テグマークス『Life3.0』の著者
❸リンダ・グラットン『ライフ・シフト』の著者
❹スティーブン・ピンカー『暴力の人類史』の著者
❺スコット・ギャロウェイ『the four GAFA』の著者
❻ポール・クルーグマン ノーベル経済学賞受賞

スコット・ギャロウェイ氏とは

スコット・ギャロウェイ(Scott Galloway 1964年11月3日 - )氏は、ニューヨーク大学スローン経営大学院教授。GAFAを現代の「ヨハネの黙示録の四騎士」になぞらえた『the four GAFA』という著作があります。

記述内容からの抜粋

✔ 今後しばらくは、ビッグテックの攻勢が続く。キャッシュリッチな企業は、ロックダウンで困窮している企業を買い漁ることができる(P141)
✔ GAFAは最早ユーティリティであり、強大な資本力を武器に独占状態を築き、高速道路にある巨大な料金所に変貌している。GAFAは脳・心など人間の感覚に直接アプローチする。進化心理学的に成功するビジネスを展開している。「ネットワーク効果」を最大利用している。GAFAの支配によって、イノベーションが起きない時代が到来している。(P143-146)
✔ GAFAの中立なアルゴリズムが社会の分断を生んでいる。「つながり」を促す一番の要素は「怒り」。対立と激怒を煽る情報が最も注目を浴びる。”「怒り」と「つながり」を求めるアルゴリズムとビジネスモデルが、フェイクニュースを生み出し、社会を分断している”(P146-148)
✔ GAFAの唯一のミッションが金儲けということを心に留めるべき。彼らのビジネスを規制できない政治の方に問題がある(P148-151)
✔ 自身の影響力を認識しないFacebookとGoogleは、選挙で解任されない人間が支配している。マーク・ザッカーバーグは世界で最も危険な人物(P151-152)
✔ GAFAの中で生き残るのはアマゾンだと思う。(P157-158)
✔ 新型コロナウイルスが経済面に及ぼす影響は、「変化の担い手(change agent)」よりも「促進剤(accelerant)」としての側面が強い。元々衰退して苦境状態にある企業の臨終を早める効果を担う。例)大学(P159-160)
✔ 株価は実体経済全体を表しているのではなく、富裕層トップ10%の経済的繁栄を反映している。(P161)
✔ 次の一千億ドル長者は、テクノロジーとイノベーションをヘルスケアに投資し、応用する人だと思う。時間を節約するサービスを提供する企業を富裕層は歓迎する。(P166)
✔ GAFA支配の負の側面から目をそらしてはいけない。(テック企業の幹部は自分の子供たちにデジタルデバイスを使わせていなかった)(P167-168)

所見

本書に登場する知性人の中では、最もビジネス畑に近い人なので、私にとっては一番身近なテーマで、理解し易い内容だと感じました。高まってきているGAFA的支配の危険性と問題点が整理されているので、無自覚にGAFAシステムを利用している私には警鐘的効果もあったように思います。

新型コロナウイルスが実体経済に与える影響として、強大な資本力と影響力を持っている一握りの企業は更に巨大化し、70-80%の大多数の既存企業は衰退するという見立てには同意します。格差は更に拡大します。裕福なスモール・ビジネスの実践者は、国家の支援で有利に延命ができそうというのも「不都合な真実」です。

本章では、二流大学の例が挙げられています。オンライン講義になるのであれば、高い学費を甘受して無名大学に進学する価値は薄れます。より実益性が高く、効率の良い教育投資にお金が回っていく契機になりそうです。

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