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『「超」リタイア術』を読む。

本日紹介するのは、ちょっと古い本で久々の再読になる野口悠紀雄『「超」リタイア術』です。

日本史からリタイアを考える

本書は、私が今からその瞬間を心待ちにしている"サラリーマン生活からのリタイア"をテーマに書かれたものです。著者の経験や意見を綴った啓蒙書もどきではなく、日本の人口問題や江戸時代の隠居の実態、現代の年金制度の問題(本書は2004年の発売で、その後年月が経過し、制度変更も行われている筈なので、今も有効なのかは検証が必要)などについても詳しく解説された非常にタメになる手引き書になっています。

まず、リタイアについての定義が秀逸です。

リタイア=将来のために現在を犠牲にする時代を卒業すること

平均寿命の延長によって、会社員は「働くだけで一生が終わる」時代は過去となり、「定年退職後をどう生きるか」を真剣に考えなければならない時代が到来しています。この点で、日本は大きな問題を抱えています。私自身も会社を退職した後、どうやって健全な経済状況を維持していくかには、かなりの不安を感じています。サラリーマンを長く続け過ぎたせいか、自分の力でお金を稼ぐ能力にも自信がありません。

社会が停滞していたと考えられている江戸時代の日本は、少数ながら富裕な農民や豪商が「リタイア後を楽しめる社会」が実現していた世界最初の国だった、という話が出てきます。ここは先人のノウハウに学んで、賢く自分らしいリタイア後の生活を楽しみたいものです。

自分のリタイア時期

私は、仕事を全くしない完全リタイアは極力先延ばししたいと思っているものの、まだ健康な間に、仕事にフルコミットするような生活からは足を洗い、週3日位のペースで、細く長く働き続ける生活に憧れています。

収入は減っても、精神的な安定と家族と過ごす時間を優先し、好きでもないし、尊敬もできない人間と関わらなければならない環境からは距離を置いた生き方を理想と考えています。そして、ライフスタイルをそのようなものに切り替えるのには、丁度良い時期を迎えているという感覚があります。

15年前にこの本に出会った時、サラリーマンという生き方は、都合良く搾取され続ける運命であり、そこに全力でコミットすることに悲哀と無常を強く感じました。

支配される理論が理不尽だとわかっていても、結局脱け出す勇気がなくて、「安定収入を確保しておきたい」という幻想を消せずに、現在もサラリーマン生活を続けています。まあ、それなりに仕事が楽しくやれていたというメリットもあるのですが。今回本書を再読してみて、年齢も重ねたので、改めて自分の生き方を考え直す必要を強く感じました。

野口悠紀雄先生の著書は面白い

野口先生は今もベストセラーを連発されていますが、カバーされている守備範囲が幅広く、かつ、論考が深いので毎回啓蒙させられます。知的好奇心が人並外れて旺盛なのでしょう。最新本も楽しみです。

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