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【続】言葉に宿る深遠な力「言霊」で幸せをつかむ方法 ⑨ 罪穢れ、邪気を祓う「伊吹法」による祓詞

日本人は古から言葉には霊力が宿り、「良い言葉は吉事を招き、悪い言葉は凶事を招く」と信じて来ました。

言葉の「言」とは「事」であり、言葉として発すれば全てそれが現実に起こると考えたのです。

こうした言葉による働きを「言霊(ことだま)」と呼んでいました。

神威を発動させ、罪や穢れを祓う神秘的な呪言「神咒(かじり)」の数々をご紹介して来た、『言葉に宿る深遠な力「言霊」で幸せをつかむ方法』。

ご好評につき、『【続】言葉に宿る深遠な力「言霊」で幸せをつかむ方法』として、これまで掲載しきれなかった神咒を、ご紹介してまいります。


「伊吹法」による祓詞

神の御息は我が息

我が息は神の御息なり

御息を以って吹けば穢れは在らじ。残らじ

阿那清々し、阿那清々し

神事の前に奏上される祝詞の一種に「祓詞(はらえのことば)」があります。

この中に「伊邪那岐大神 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に 禊祓給ひし時に生り坐せる 祓戸大神等」とあります。

この「祓戸大神(ハラエドノオオカミ)」とは「祓戸四神(ハラエドノシシン)」ともいい、祓を司る「瀬織津比売神(セオリツヒメ)」 、「速開都比売神(ハヤアキツヒメ)」 、「気吹戸主神(イブキドヌシ) 」、「速佐須良比売神(ハヤサスラヒメ)」の四柱の神々を指します。

「祓詞」の一節にもある通り、祓戸大神とは伊邪那岐大神が、筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で、禊を行ったときに為り変わった神々の総称です。

祓戸大神を祀る日比谷神社(東京都港区)

また、『言葉に宿る深遠な力「言霊」で幸せを掴む方法⑥ 現状を打破したいときに「最上祓(さいじょうのはらい)』で、神道において最も重要な祝詞である「大祓詞(おおはらえのことば)」を簡略化した「最要祓(さいようのはらい)」、「最上祓(さいじょうのはらい)」をご紹介しました。

簡略化前の「大祓詞」には、後半部分に以下のような一文があります。

此く持ち出で往なば 

荒潮の潮の八百道の八潮道の潮の八百會に坐す速開都比賣と云ふ神 

持ち加加呑みてむ 

此く加加呑みてば

氣吹戸に坐す氣吹戸主と云ふ神

根國底國に氣吹放ちてむ

此く氣吹放ちてば

根國底國に坐す 速佐須良比賣と云ふ神

持ち佐須良ひ失ひてむ 

此く佐須良ひ失ひてば 罪と言ふ罪は在らじと 

祓へ給ひ清め給ふ事を 天つ神 國つ神 

八百神等共に 聞こし食せと白す

祝詞を唱えることで、天上の神も、地上の神もそれを聞いて下さり、お聞き下されば罪という罪は一切なくなり、一切の罪も祓い清められる。

そして、祓い清められた罪は瀬織津比売神が大海原に流し去り、流された罪を速開都比売神が呑み込み、呑み込んだ罪を気吹戸主神が「根の国、底の国(黄泉の国・あの世)」に吹き放ってくれ、吹き放たれた罪は速佐須良比売神が、何処かへ運び去って、消してしまうでしょう。

そう書かれています。

今回、ご紹介する「伊吹法」による祓い詞は、この気吹戸主神が罪穢れを吹き払ったという謂れが元になっています。

気吹戸主神の、「気吹」とは「息吹」であり「伊吹」でもあります。「息吹」は、息を吐き出すこと、または呼吸法を意味します。

神道では、とくに呼吸の作法を重要しており、明治期から大正期にかけて活躍した神道家・川面凡児(1862-1929)が呼吸法「伊吹法」を含んだ禊行を神社神道に採用しました。

呼吸法は、通常の神社参拝時にも重要な意味を持ちます。

二礼ニ拍手一礼の際の、一礼のときに息を強く吐きながら頭を下げます。

そして、頭を上げるときに、息を吸い込むのです。

低頭して息を吐くときには、自らの背負った罪穢れを参拝する神様にお渡しをするイメージ。頭を上げて息を吸い込むときには、清浄な神気で心身を満たすイメージを持ちます。

こうすることで、より参拝の意味合いが深まります。

今回、ご紹介する「伊吹法」による祓詞は、3度唱えたあとに息を強く吐きます。

伊吹法は、鼻から吸って、口から吐くのが基本です。

この祓詞は、罪穢れは勿論のこと、病気や邪気払いに大変な効果があります。

呼吸法とともに、是非お試し下さい。


神咒・祝詞集

【地震の被害を避ける】

【人の善悪を知る秘言】

【大国主神の御神徳を仰ぐ幽冥神語】

【不慮の事故や災難を除ける呪言】

【生業繁栄の呪言】

【家内の災禍を除祓する秘咒】

【凶方を吉方に変える修験道の呪文】

【長寿と健康を願う強力な秘咒】

【開運・邪気払いの10の神咒】



TOP画像:イザナギが禊を行った伝説のある宮崎市阿波岐原町の御池(みそぎ池)


参考文献

『【図説】日本呪術全書』豊嶋泰國(著)原書房


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