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これぞブランドのチカラ。あなたは何派?認知とおいしさの関係:ポテトチップス編

みなさん、こんにちは。いつもお読みいただき、ありがとうございます。

今日は「ブランドが持つチカラ」を、心底実感したときのお話です。

さて、みなさん今まで「ブランド」の名前で買ったものがひとつやふたつはあるのではないでしょうか?とりあえず服は「ユニクロ」で買っておけば間違いない、とか、インテリアは「IKEA」のモノが欲しいとか、ファンデーションは「ディオール」がイイ!とか。

つまり、ブランドは選ぶための記号であり、認知されればそれだけで買い物が効率化される、消費者にとって、とても便利なルールありツールです。

今日はそのルールを少しだけ読み解きます。

認知=ルール=約束

さて前述したとおり、ブランドはどのようなイメージで認知されるかが非常に重要です。その「認知」は、イコール消費者との間の「ルール」です。「約束」と言い換えても良いですね。そして、そのルールや約束を違えると、消費者はかなり敏感に反応し、裏切りだと怒りを表すことも。

少し話がそれますが、有名人の不倫話で、許させる人とそうではない人がいるのは、これもパーソナルブランドがもたらすところの、非常にわかりやすい例です。「良い人」という認知を得ていればいるほど、「不倫」問題で叩かれていくわけです。ですから、みなさんもご存知の通り芸人さんたちは最近こぞって「自分はイイひとじゃありませんから!!」って言いはってますね。笑。パーソナルブランドを払拭しようと頑張ってる、、、。

ただその努力もなかなかすぐには浸透しません。ブランドは一つの言葉だけで成り立っているわけではなく、その人や企業が繰り返し語ってきたこと、姿勢、提案している内容など、社会的事実が積み重なって、折り重なって、その受け手である人の頭の中でイメージされていくモノなのです。ですから、それはまるで地層のようであり、そう簡単に一言で払拭したり、方向性を変えたりはできないモノなのです。いつも正論ばかり振りかざすような人が、「自分はいい人じゃありませんから」と言っても、なんの説得力もないわけです。

つまり一度そのイメージが消費者の中に構築されてしまったら、なかなか覆すことは難しく、企業やタレント、そして仕事をする多くの人にとっては細心の注意を払って構築する必要のある、とても重大なモノであると言えます。

それで、ポテトチップスの話

前置きが長くなりましたが、今日はポテトチップスのお話です。

突然の宣言で申し訳ありませんが、私はポテトチップスがかなり好きです。そして、先日ふと思い立ち、「湖池屋」と「カルビー」の、のり塩味を食べ比べてみようと、一緒に購入してみたのです。みなさん、やったことありますか?

ちなみに、もちろんどちらも食べたことはありました。そしてどちらも美味しいと思っていました。ただ、私は「湖池屋」ののり塩がもともと好きでした。ですから、今まで、わざわざ他ブランドと一緒に買おうと思ったことは一度も思いつきもせず、一緒に食べる機会も特になく数十年生きてきたわけです。

さあ結果は。
このフリですから察しの良い皆さんであればもうお分かりですよね。味だけでいえば、私は「カルビー」の方が好きだったんです!(どちらが美味しいということでなく、どちらが好みかということですので、誤解なきよう)

何が私のイメージに影響したのか?

私はまんまと湖池屋さんの大変優れたコミュニケーション戦略にハマっておりました。

まず、ロゴ。湖池屋さんはロゴひとつとっても、時代に合わせてマイナーチェンジを繰り返しており、大きくイメージは変えないけれども、古臭くならないよう最新の注意を払っています。

そしてかなり前にはなりますが、新商品として売り切れ続出が出た「KOIKEYA PRIDE POTATO」シリーズでは、ターゲットに「高級」「贅沢」という新しい価値を付与し、そのターゲットが求めるパッケージデザインを提案することで、「大人」も買ってイイ、むしろ「大人」にこそ相応しい、とアピールすることで大成功し、今も高級路線の商品が増え続けています。

そして、その新商品群で示された「センス」に引っ張られ入ってきた人たちが、「そうはいってもやっぱりあの味が好きだった」と既存商品へのノスタルジーや、なじみの味を思い出す。昔好きだったという過去の好意を、今・現在にしっかりアップデートできるよう、既存商品も時代にあわせてきちんとマイナーチェンジを仕掛けて準備をしておくことで、新商品からはじまった好意度が既存商品までしっかり繋げることができている優れた戦略だと感じました。
そうやって湖池屋の信用は培われ、しっかり「湖池屋を選ぶ層」を開拓している戦略は素晴らしいと感じています。

私はイメージで美味しさを感じていた!

今までブランド名で購入する際、明らかに機能が別のものの方が自分の好みだったと実感することはあまりありませんでした。ブランドが持っている歴史や価値観、哲学、社会に対する責任や挑戦などのイメージを購入しているのであって、「機能」は良くてあたりまえ、と感じていたからかもしれません。

例えば、私はお財布をブランドで選びます。まず世の中にお財布が星の数ほどデザインがあふれ、いったいどこから選び出すのが良いのか途方にくれてしまいます。そのため、まず自分が求めるイメージを訴求できるブランドはどこかを選定し(だいたい普段の生活の中でいくつか候補があがっている)、その中から探し始めることで、探索コスト(モノを探すためにかかる時間やコスト)を下げようとします。そして、そのブランドを選ぶことで、そのブランドが持つ哲学を私も「共感」しているという自己主張の手段にしたいと思っているわけです。その流れでモノを選ぶと、購入後、後悔するということはあまりなく、むしろ愛着を持って使用することになります。

今回、湖池屋のポテトチップスについて、私の好みの味はカルビーではありましたが、私が湖池屋を選んでいたこと自体に後悔は特にありませんでした。ただ、好みの味はカルビーだったんだ、という新鮮な気づきがあったということで、これからはどちらを食べるときにも楽しく食せると感じています。

そして重要なことは、今後私はどちらを購入するかというと、やはり味だけでカルビーを選ぶわけではないということです。もちろん選ぶ頻度は上がるかもしれませんが、私が湖池屋というブランドが好きである限り、味が多少好みでなかったとしても(嫌いだったら購入しませんが)、スキであればやはり購入し続けるのです。これがブランドのチカラだと実感するわけです。

つまりそのポテトチップスをとりまく「イメージ」群が、私にとって「美味しさ」のスパイスになり、満足度を高めてくれるからです。ブランドで購入するというのは、「推し活」と似ているのかもしれません。

ブランドは一朝一夕で構築できるものではない

飽食の時代といわれる昨今、菓子業界で、美味しいのは当たり前なのです。むしろ、「美味しい」以外の価値を与えられることができたときに、消費者は好んでその商品を選び取り、そして選んだ自分に満足できると感じます。

もちろんその価値が「価格」である場合もあるでしょう。しかし食品業界において価格はメーカー側がなかなか決められない背景もある中で、「価格」のみに依存することは危険でしょう。差別化要素を他の企業に握られているのは、明らかに市場で勝ち抜ける状況と言えません。

自分たちがどのような価値を消費者に与えられるのかを真剣に模索し、決断し、実行しているところが、ファンを増やしていけると考えます。そして、その小さかったり、大きかったりするたくさんの「決断」がそのブランドを構築していくわけです。最近はSDGsの取組で、環境保全やジェンダーギャップなどの取組を強化している大企業が増加しています。そういったひとつひとつの取組も、売り上げに直結するわけでないのですが、結局のところブランドを構築する要素となっているのです。

そして消費者は、その決断に対して「購入」という形の「投票」をしているのだと思っています。

今回カルビーを引き合いに出してしまいましたが、もちろんカルビーファンも多数いるかと思います。そうやって切磋琢磨することで、この両社がトップを走っているのでしょう。これからも是非注目していきましょう!

最後に。

まったく関係ありませんが、私が好きなポテトチップもご紹介。みなさんハワイに旅行に行くと、必ず目に入るフラ印のポテトチップス。ハワイ旅行の思い出とセットで食べると嬉しさもひとしお。厚焼き系ポテトチップスで塩味加減が大好きです。

こちらは逆にあっさり口当たりも柔らかで、薄いポテトチップス。菊水堂。
工場直送チップスの元祖と言えますね。賞味期限が短いことをあえて魅力としてるブランドです。


以上、本日のブランド考察のお話しでした。
みなさま、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

機会がありましたら、是非、色々食べ比べて感想を教えてください。

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