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人格じゃないものとのスイッチング

主人格のまりんです。
今回は、人格ではないものとのスイッチングについて書きます。

スイッチングとは交代という意味です。
人格と交代するのであれば、人格交代になるのですが、今回は交代する相手が人格ではありません。
人格になりきってないパーツと呼ばれるものと交代します。

正確には、人格もパーツです。
パーツとは、「人格の部分personality of part」の略です。

1つの体に1つの「人格」があるという設定をして、その人格の様々な側面を「部分=パーツ」と設定します。

健常な人は、ひとつの人格からパーツとして分裂しているものが少なく、解離性障害だと分裂しているものが多くなります。
※解離は日常的解離という病的でないものもあるので、解離によって人格がパーツに分裂することは健常な人でもあります。

解離性障害のうち、たとえば、健忘によって中学生の頃の記憶がなければ、それは「中学生の頃の記憶」まるまるがひとつのパーツとして人格から切り離されていると考えます。
あるいは、中学生まるまるというほど長い期間ではなく、前の日の記憶がないなど短期間の健忘の場合も「前の日の夜の記憶」というひとつのパーツとして人格から切り離されています。

「中学生の頃の記憶」と「前の日の夜の記憶」のパーツを比べたとき、そのふたつはもっている情報量に違いがあります。
「中学生の頃の記憶」は3年間の様々な出来事や感情や人間関係に関わることも情報に含まれますが、「前の日の夜の記憶」だと数時間分の出来事や感情、人間関係だけが情報になります。
このとき、中学生のころの記憶を「大きいパーツ」、前の日の夜の記憶を「小さいパーツ」と仮に呼びます。

解離性障害は、人格を構成する様々なものがパーツとして断片化していくことが第一段階にあります。
そして、第二段階では、断片化したパーツが集まって結晶のように固まっていきます。

たとえば、解離性障害の人には「痛みを感じません」という人や「怒ったことありません」という人がいます。
これは、痛みという感覚や怒りという感情を主要な人格から分裂させてパーツ化しているためにおこります。

たとえば、この「痛みパーツ」と「怒りパーツ」が合体したら、「痛みと怒りを抱えるパーツ」として少し大きなパーツになります。

さらに、「痛みと怒りを抱えるパーツ」が「中学生の頃の記憶パーツ」と合体すると「痛みと怒りを抱える中学生の頃の記憶パーツ」というさらに大きなパーツになっていきます。

そして、この合体によってできたとても大きなパーツが「人格」と呼ばれているものです。

解離性同一性障害は、パーツ化してしまうだけでなく、結晶化という合体作業が人格ができるまで続いたものになります。

しかし、解離性同一性障害でも全てのパーツが人格になるまで結晶化(人格化)しているわけではありません。
むしろ、耐え難い記憶や感情ほど、人格化せずにバラバラのままパーツとして保存されていることもあります。

フラッシュバックとは、細かいパーツが突然、人格レベルのパーツにくっついてしまって、パーツが持っていた記憶や感覚が共有されてしまうためにおこる現象と思ってください。
くっついてしまったパーツは、そのままくっついたままのときもありますし、また分離してフラッシュバックから逃れることもあります。

今回話題にしたい人格以外とのスイッチングとは、こういう細かいパーツとの交代のことです。

細かいパーツは人格ではないので、時には人としての常識的な言動判断ができないことがあります。
また、細かいパーツの細かさによってはしゃべることができるパーツもいれば動くことしかできないパーツもいます。

私は人格以下のパーツとの交代に悩んでいます。

たとえば、「人生のつらさ」という感情だけを集めて固めたパーツと交代してしまったときは、いきなり頭を抱えて泣き叫んで動けなくなり廊下に倒れ込んだまま、人格(レベルのパーツ)に交代するまでずっと泣いたり叫んだりしていました。
他にも、何故かずっとハンディ斧でずっと家の壁を殴っていたこともあります。
小さなパーツが入れ替わり立ち替わり交代して出てくるポップアップという現象で1時間近く秒から数分単位でいろんな状態になったこともあります。

小さなパーツとの交代を防ぐには、そのパーツを癒して、分裂した状態から回復させ、主要な人格パーツに融合させる必要があります。
融合すると、そのパーツはその人格のものになるので交代という形で現れることはありません。

解離性同一性障害の治療はこの小さなパーツも含めた全てのパーツを癒す必要があります。
パーツが癒やされて安心している状態でなければ、トラウマ処理の治療の最中にポップアップやフラッシュバックがおこってしまうからです。

私の場合は、細かいパーツが多すぎて対処が大変だということで意図的に結晶化させて人格を増やすことで大きなパーツにしてしまおうという方針になりました。
根源的なトラウマ関連のパーツは人格化させずに、大人になってから得た苦痛などで分離したパーツをまとめていきました。
そうやってできた人格が友樹くんです。

人格以下のパーツとの交代はとても危険です。
場合によっては、人格以下のパーツと交代した後に行動力のあるパーツのときは、解離性遁走を引き起こします。
人格以下のパーツだけど「自殺願望パーツ」の場合で行動力があれば、下手をすればそのまま自殺行為に及びます。

人格なら話し合うこともできますが、言葉が通じないこともあります。

昨晩、私は人格以下のパーツと交代して、ひたすら泣きながら消えたいと思ってました。
しかし、動けないパーツだったので感情的な問題だけで済みました。
でも、このパーツが他の動けるパーツと合体した状態で交代したらどうなるかわかりません。

はやく、人格以下のパーツとの交代が治まるといいなと思います。

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