山本 智/サイエンススタートアップ・代表/野良研究者

ちそう・代表。基礎研究を支援する事業の立ち上げに奮戦中。さわれるミュージアムThink…

山本 智/サイエンススタートアップ・代表/野良研究者

ちそう・代表。基礎研究を支援する事業の立ち上げに奮戦中。さわれるミュージアムThink Squareやそのコンテンツを活用したワークショップ・人事研修、探索探求アプリ「GIMON」など知的好奇心を刺激する・育てる”何か”を提供しています。起業や事業運営で感じたことを書きます。

最近の記事

パラレルワークの有用性

今回は少しこれまでと違う、働き方について考えていることを書いてみたいと思います。 サイエンススタートアップを立ち上げているわけですが、ここ数年は、自社の事業以外に、主に広報やマーケティング、事業開発の部分で、他の事業会社のお手伝いをしています。いわゆる「パラレルワーク」というやつです。 多くのスタートアップ創業者は、自社事業に専念して、そこに生死をかけていくことが多いので、こういう私の動き方を「中途半端だ」「本気度が足りない」と言われることもあるのではないかなぁと思ったり

    • スタートアップに大事な数字「売上」

      新型コロナウイルスの流行で、さまざまな事業体が影響を受けていると思うのですが、「リアル体験」を売りにしていた、私たち、ちそうの事業も大きな影響を受けています。(下は、さわれるミュージアム"Think Square"の展示風景) 起業する際に、「まずはキャッシュフロー(≒手元資金の確保)だけ意識しればつぶれない」とアドバイスをいただいていたこともあり、資金繰りを考え、節約は意識していました。例えば、基本的にモノ・場所を持たない、最小限・最低限必要な機能のみを導入するなど。なの

      • 成長って難しいという話(脱皮の話)

        事業立ち上げを始めて早3年半(準備期間を入れると4年半)。なかなか事業を育てられない状況にもやもやしつつも、貴重な仲間を得て、少しずつ前進してきました。 対象としている分野が、流行りのTech系ではないこともあり、基本的に急激な成長が難しかったり、いろんな企業とのコラボがしにくかったりもするんですが、それでも生き残れているのはありがたいなぁと。 仲間に恵まれているのに、もっと成長できるんじゃないかと思える要因は、自分の成長が止まっている事にあるんじゃないかと最近思えて、反

        • 基礎研究の価値

          タイトルとミスマッチな写真だと思われた方も多いと思う。しかし、いたって真面目に写真を選んだ(笑)今日は、私たちが事業の目的としている基礎研究支援の「基礎研究」について書きたい。ちなみに、ちそうは「科学の魅力で事業を立ち上げ、その収益で科学に投資する」ことを目的(ミッション)にしている。その過程で、科学が刺激する「知的好奇心」がキーになること、それをもつことが人を変革し、イノベーティブな世界で生きていく力になることが分かってきたこともあり、ビジョンにはこれを掲げている。そして、

          企業内新規事業がうまくいかない理由のひとつと思われる二つ

          自分が起業していて、非常に面白く日々を過ごせているなぁと思うのは、「科学の魅力で事業を創り、その収益で科学を支援する」という基本的な狙いがずれていないからだと思う。つまり、ビジョンやミッションが明確にあり、それが共有されている仲間と仕事していると、みんなでベクトルが合っているので、面白いアイディアがどんどん出てくるし、その実現にみんなで真剣に向き合うから何かしらの結果が出るからだと思う。 昔、大手企業に勤めていた時には、広報を担当していたので、新規事業の担当者の方に取材し、

          企業内新規事業がうまくいかない理由のひとつと思われる二つ

          科学とは何か?

          科学をテーマに事業を創っているので、改めて考える機会がなかったと気づいたのは、3年前くらいでしょうか。自分が「大事だ」とか「重要だ」と思っているものやことって、あまりに大事すぎて、その言葉が持つ意味を考えることがないなぁとある日気づいたのでした。 特に、「当たり前」だと思っていると、よくこの事象に陥りやすいなぁと。そして、その人の考え方が反映されるので、100点満点で万人が納得できる定義もない。 極端な例だけど、例えば、「なぜ人を殺してはいけないのか?」。当たり前だと思う

          挑戦する意義~自然、生物、起業

          生物という自然を中心に、基礎研究を支援する事業を立ち上げているわけですが、事業立ち上げも、ある種、人間が作る社会という「自然」と向き合うことだなぁと最近感じます。 大学時代は、ダイビングでそれを強く感じました。部活でももちろん潜っていたのですが、フリーダイビング(素潜り)なんかやると、特に、感じます。 体調を完璧に整えても、海の中、特にうねりの発生なんかは、こちらの状態なんか関係なく起こる。結果、深く潜れないとか。記録、どこまで深く潜れるかがすべてじゃないとは思うものの、

          アンパンマンと起業

          前にも、アンパンマンの歌にはっとさせられたことがあったけど、また、娘が口ずさむ歌にハッとした。 「もし自信をなくして くじけそうになったら いいことだけ いいことだけ 思い出せ」(アンパンマンたいそう) https://www.youtube.com/watch?v=ZajurpOEgT0 ほう。起業家向きじゃないか。 起業は、思いのほかうまく行かない。そして、思いのほかうまくいく。自分の力ではない所で、話が進んだり、逆に止まったり。たいした看板をもたないスタートアッ

          理系と文系の違い

          時々、科学や数字が並ぶ話をしていると、「文系なので数字に弱くて・・・」「ロジカルシンキングが苦手で」なんてことをつぶやく方がいる。 文系と理系の違いは、数字に強いか、弱いか、論理的かどうかの違いなのだろうか。文系の学問に論理性がないなどと言われれば、文系の研究者はきっと怒ることだろう。私が文系学問に従事していれば、もちろん怒る。 文系学問と理系学問の違いはそんなことにないだろう。理系の学問は積み上げ式で体系だっているため、細かい実験や実証のもとに仮説を検証していく。細かい