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パラレルワークの有用性

今回は少しこれまでと違う、働き方について考えていることを書いてみたいと思います。

サイエンススタートアップを立ち上げているわけですが、ここ数年は、自社の事業以外に、主に広報やマーケティング、事業開発の部分で、他の事業会社のお手伝いをしています。いわゆる「パラレルワーク」というやつです。

多くのスタートアップ創業者は、自社事業に専念して、そこに生死をかけていくことが多いので、こういう私の動き方を「中途半端だ」「本気度が足りない」と言われることもあるのではないかなぁと思ったりもします。(私の周りの人はやさしいのできっと思っても言わない(笑))だけど、なかなかいい働き方だなと思っています。ここでは、どういうところが良いのか、書いてみたいと思います。

良いところ1:死ににくい

新しい商品やサービスを創り、市場を創っていくことは、並大抵のことでは実現できません。それこそ強い思いがあれば実現できる、というものでもなく、(ただし強い思いは必要)、人間ですから判断ミスもあり、うまくいかないことも数多くあります。もちろん、今回のコロナのように、自力ではどうにもならない不運なことに見舞われる可能性だってあります。

すると、自社事業一本足打法だと、その足を失う、立てない状態になると、創業者自身も食べていけなくなるので、事業そのものを廃業しなければいけなくなります。どんなにうまくいかなかったとしても、ゼロよりも進んでいる事業を、完全にあきらめなきゃいけないという可能性が出てきます。それってすごくもったいないことだと思いませんか?

生物学を研究していたこともあり、進化論なども多少かじったりもするのですが、生物の戦略って、ルールって、究極は「生きのこったもの勝ち」だなと感じることが多々あります。逃げる、戦う場を変える、他のことに挑戦する。そんなことを繰り返して、生きのこった生き物だけが今存在できている。そう考えると、死ななければいつか事業が日の目をみることがあるんじゃないかと思い、まずは私自身が生き残るためにも、集中しすぎてどうにもならなくならいようなことが起きないように、可能な範囲でパラレルワークを行っています。

もちろん、自社事業をやることが前提なので、その条件を飲んでくれるところでしか働けません。お互いに納得できる場所をしっかり探すということは、避けて通れないので、「本当にやばい!」という状況になる前に動いておく必要があります(笑)

良いところ2:視野、思考を狭めない

自社事業に集中していると、必然的に関係するお客様やパートナーを中心に人脈が広がり、自分の思考も他の業界ではどうなっているのかという視点や視野を持ちにくくなると感じていました。

特に研究していた時がそうだったのですが、私が野良研究者ではなく、前線にいた時、生物学を専攻している人は、理系にもかかわらず、程度の差こそあれ、かなりの確率で物理と数学が苦手でした(統計学はできる)。今では、恐竜や古生物の世界では、構造計算など物理学を活用することが当たり前になっていますが、15年くらい前はまだまだそんな視点を持つ人も少なく、私が形態学に三角関数を持ち込んだ時も、あまり周りに理解されず、かなり変な目で見られたものでした(笑)

生物の世界で生物だけをやっていると、横にある物理学や数学を活用するということが思いつかない。そんな風景を目にすることになったので、研究している時から、自分の分野以外の知識やノウハウ、手法で使えるものがないかよく探したり、話を聞いたりしていました。

話戻って、事業についても同じことがいえるんじゃないかなと思っています。他の業界では当たり前にされていることを取り入れてみると、今ある課題がすんなり解決するんじゃないか、他の業界の知人のネットワークを活用することで、自社事業が伸びるんじゃないか、そんなことを感じることも多かったので、意識していると、実際に新しいサービスにつながることがありました。

弊社の人事研修サービス「シンカのトビラ」です。

このサービスは、もともと展示イベントを商材として営業していた時に、オフィス向けサービスにしてリリースしたところ、たまたま新聞に掲載され、他の企業の人事の方にと時々開催していたワークショップと展示を、人事研修に使えるんじゃないかと提案いただき、実際にサービス化してみたらニーズがあった、というものです。

ちなみに、きっかけとなったオフィス向け展示サービスも、展示を観葉植物のようなレンタルサービスにしたらニーズがあるんじゃないかという他の業界の方にアドバイスいただき、オフィス展示サービス「オフィシアム」というサービスにしたら、これも意外とニーズがあったというものです。

どうすれば事業を拡大できるのか、サービスとして形をつくっていけるのか、それこそ必死に考え続けていたものの、展示として考えていたサービスだったので、人事研修にする、観葉植物のようなインテリアレンタルサービスにするなどという発想は全くなく、かつ、アイディアを頂いてもピンとこない。だけど、とりあえずやってみると、意外とニーズがあるということもあり、いかに自分の視野が狭まっていたかということをまじまじと感じた瞬間でした。

良いところ3:双方にメリットがある

自社にとって、自分にとって視野や視点を広げるというメリットもあるのですが、自社の人脈やネットワークが意外とパラレルワークさせていただく企業にも役立つことが多々あります。

先ほど、外部の方のアイディアを取り込んだ話をしたのですが、自分の事業は一生懸命になりすぎるあまり、冷静さを欠いているのか、意外とアイディアが出ない。しかし、他の人の事業だと、良い意味で”他人事”としてとらえられるのか、「こういうことができる」「ああしたらよい」と思いつくことがたくさんあるんです。

まさに、「人のことは何とでもいえる」(笑)

すると、人の事業について言っていることが、自分の事業にも生かせることを言っていたりもします。最初から思いついてほしい、と思うものの、なかなかそうはいかないのが人間なのかもしれません(私だけかもしれませんが・・・orz)

ということで、起業家の方も、パラレルワークをすることで何か開けることがあるかもしれないので、チャレンジしてみると良いのではないかと思います。

さいごに:デメリットのはなし

非常におすすめなパラレルワークですので、ここまで良いことを書いてきたのですが、最後にデメリットの話を。予想されていると思いますが、圧倒的に時間が消えていきます。そのため、体力勝負になることも多々あります。かなりしんどいということが最大のデメリットだと思います。体力に自信があるうちしか、もしかしたら使えない手かもしれませんが・・・。現在、41歳ですが、まだまだパラレルをこなせているので、しばらくはいけるんじゃないかと思っています(笑)

他にも、メリットもたくさんあるので、何かしらコンタクトいただければ、私の経験だけですが、回答していきますので、活用ください(笑)

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