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タイトルとミスマッチな写真だと思われた方も多いと思う。しかし、いたって真面目に写真を選んだ(笑)今日は、私たちが事業の目的としている基礎研究支援の「基礎研究」について書きたい。ちなみに、ちそうは「科学の魅力で事業を立ち上げ、その収益で科学に投資する」ことを目的(ミッション)にしている。その過程で、科学が刺激する「知的好奇心」がキーになること、それをもつことが人を変革し、イノベーティブな世界で生きていく力になることが分かってきたこともあり、ビジョンにはこれを掲げている。そして、その科学は、「基礎研究」にフォーカスしている。

何故基礎研究にフォーカスしているかというと、私自身、クジラやイルカの研究をしてきたが、分子生物学のような先端研究をやっていたわけではなく、解剖学、形態学をやっていた。つまり、鯨類のカタチの意味や構造の解明を目的としていた「基礎研究」に携わり、その研究環境の厳しさが身に染みているからです。

研究を行うと、必ず研究意義を聞かれることがあるけど、「わかっていないことだから」「おもしろい結果がえられそうだから」では、当然、研究資金の獲得はできないし、ましてやポストを得ることはできない。いかに社会に役立つか、どう経済活動に寄与できるか、概ねここが評価される。

基礎研究の意義

科学支援に目を向けても、支援を行う企業や個人、行政機関もあるにはあるものの、すべて応用研究をターゲットにしていることが多い。なぜなら、経済的価値をつけやすく、すぐにカタチになりそう、結果が出そうだからである。もちろん、海のものとも山ものものともわからないものには投資しづらいというのはわかる。だけど、本当にそれでよいのだろうか。「基礎研究」は投資するに値しない研究なのだろうか。

私自身が基礎研究を行ってきたから、というわけではないけど、もちろんこの問いには「NO!」と言いたい。基礎研究の結果は、将来応用研究に発展する大きな可能性を秘めている。基礎研究の蓄積がなければ、経済活動に結び付きやすい応用研究は生まれてこないからである。

例えば、生き物のカタチを模写して製品の機能や性能を高める、バイオミミクリー、バイオミメティックはわかりやすい例だと思う。生き物のカタチを研究することが、構造を研究することが何に役立だつのか、考える前に、その生き物を理解するために研究し、解明していたことが、たまたま結び付けられて日の目を見るということになっている。新幹線の形状、扇風機の羽のカタチ、反射しない額縁のガラスカバー・・・挙げていけば切りがない。

基礎研究はカレーの具材

そして冒頭の写真。カレー。応用研究はすぐに刈り取れる稲穂のようなもので、イネを植える作業が基礎研究。カレーを作る、シチューを作る、その調理法やどんな具材を使うかを検討するのが応用研究で、応用研究を進めていけば、すぐに食べられるので満腹にはなる。もちろん満足できる。しかし、その具材は、どこで準備するのだろう。それが基礎研究なのである。

ニンジンやジャガイモをどう作るか、どんなものがよいのか、ここを研究しておかないと、カレーは作れない。稲穂を刈り続けて、イネを植えなければ、いずれ食べられるものはなくなる。これが、基礎研究の環境を整えないことによる最大のリスクだと思う。

つまり、基礎研究に投資しなければ、応用研究の発展、新しい応用研究の発現を期待できない環境になるということである。今の私たちの社会は、科学の発展が寄与した部分が多大にある。この環境を継続していくには、応用研究の発展が必要であり、そのためには、基礎研究の蓄積が必要なのである。

個人的には、カレーの例えは、基礎研究の意義を理解してもらうのにわかりやすいと思っているけど、伝わるかな・・・。

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