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匂いは物質、香りは言語

子ども達の花粉症対策に、今日わが家のリビングにスウェーデン製のblueairというちょっとハイスペックな空気清浄機が導入された。

最近の家電はなんでもWiFiでスマホに連携できるのね、そんな機能ほんとに必要あるのかね、と思ったけど、夕飯にサーモンを焼いているとその脂っぽい煙が空気の汚れとして検知され、一気に空気中の化学物質の値が上がって、そういうのが見える化されるとつい面白がってしまいもする。

空気のように目に見えないものだからこそ、仕事してまっせ、てのを使用者に伝えるUIは確かに意味がある。一般的なスペックの空気清浄機では、汚れサインが光るとか、緑がきれいで赤が汚いとか、そういうやつ。

夕飯を済ませてキッチンをひと通りきれいにすると、片目にずっと見切れてる、金柑の袋が気になってくる。そう、今日宅配の果物セットで届いたの。いつも絶妙のタイミングで、ちょっと変化球な果物入れてくるこのセットが私は好きだよ。半分戸惑いみたいな気持ちと、半分わくわく、この子どうしてやろうかなって気持ちと。

で結局金柑サイドの煽りに負けて、子ども達のお風呂は夫に任せて蜜煮を作ることに。水洗いしてヘタを取り、果物ナイフで皮に切り込みを入れていくと、みずみずしいフレッシュな香りが弾けてああもうこれだから柑橘は最高!ってなる。柑橘は、皮に香りの成分が沢山詰まっているから、皮を剥く時が一番香る。そして水を張った鍋に入れて煮立ってくると、湯気に金柑の芳香がふわぁっとひろがって、あー、、、なんていい匂い。これは作る人間だけの僥倖。エッセンシャルオイル蒸留してるみたいなものだものね。

しかしどうやらこの芳香が、blueair的には空気中の漉すべき汚れと検知されて急にグラフは右肩上がりになる。えー、これはいい匂いですけど?って思う反面、匂いは物質だから、そりゃそうか、とも頭では分かり、機械サンはお気の毒ね、と思う。

匂いは物質だけど、人の心や感覚に作用するものは、言語のそれに似て、目に見えない魔法だ。人の感覚が、認識がそれを捉えると、起こる作用。心地よさ、食欲、安堵感、清涼感、懐かしさ、不快感、苛立ち、怒り、胸を締め付ける感覚、、、

きっとその魔法も、ひとつひとつの化学的現象として分析可能なんだろう。けれど、その魔法が起きるのは、生きている、人間。

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金柑、ほんと可愛らしい。遠くに暮らしててなかなか会えない、オレンジ色が似合う小さな女の子を思い出して、恋しくなる。

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