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14.「令和の白拍子」 宝塚音楽学校へ〜殺気立つ高校時代(初恋編2)

「令和の白拍子」こと、花柳まり草(はなやぎまりくさ)こと、まりちゃんです。

前回より、まりちゃん16歳の頃の初恋のお話をしております。

お相手の「ネコザメさん」(仮名)とメールのやりとりをし、ついに!脈アリのお返事をいただいた私。

喜びに打ち震えるまりちゃんでありましたが、この恋の行方は、さぁいかに…。

それでは14番目の記事、早速参りましょう!

■アルジャーノンに花束を

メールのやり取りをしている間、私は好きな本の話や音楽のことを頻繁にお話しました。

もちろんネコザメさんの好みを知りたかったからです。

今もそうなのですが、皆さんの「好きなこと」、つまりどんな「フィルターを通して世界を捉えているか」という事柄に私は一番興味を惹かれます。

そうこうメールのやり取りをしている内に、ネコザメさんはとあるインディーズバンドの楽曲お好きだということが発覚しました。

もちろん、CDもお借りしました。

ただ、私としては初めて触れる世界で、幾分戸惑いもあり、正直あまり馴染むことが出来ませんでした。(ジャンジャカうるさかったんですもん…笑)

本は「アルジャーノンに花束を」という名作がお好きということ。

私は恥ずかしながらその本を読んだことがなかったので、こちらも勿論お借りして読みました。
とても素敵な本で、だいぶ感動しながら読んだことを覚えています。

何かを借りて、感想を伝えながらお返しして、また何かを借りて。

これを繰り返し、何かと口実をつけてはネコザメさんと顔を合わせる様にしていたわけですが…。

ついに、その日がやって参りました。

■ぶつかる

その日も、何かを借りたのか、お返ししたのか…とにかくネコザメさんとお茶をしていました。

帰り道、ちょっと日も暮れたので、私の家の近くまでネコザメさんが送ってくれました(もともとお家もそんなに遠くなかったのです)。

談笑しながら狭い路地を歩いていたのですが、ふとした瞬間に、肩と肩がぶつかりました。

そして手もぶつかる様にして触れ合ったのです。

私は「あっ」と思いました。
すぐ身を離そうとしました。

でも、出来ませんでした。

気が付くと、どちらともなく、お互いがお互いの手を握り合っていました。

私は耳まで真っ赤になったのを感じました。

異性と手を繋ぐなんて、小学生の時の「肝試し」以来のことです。

どうしたらいいかわからず、私は急に言葉が出てこなくなってしまいました。

ネコザメさんも、私の手をギュッと握ったまま、黙って歩いていました。

でも、ひたすらに嬉しくて嬉しくて。

今日の初夏の日の夜のこの匂い、きっとずっと忘れないだろうなぁと思いました。

お家の近くまで来ると「またメールするね」とネコザメさんが照れ臭そうに笑いました。

■ヴィーナスフォート

私は土日もバレエのレッスンがあったり声楽のレッスンがあったので、会える日は本当に限られていました。

バレエのレッスンがお休みの平日の夕方に会ったり、日曜クラスがお休みの時に顔を合わせたりしていました。

その頃はちょうどお台場にある「ヴィーナスフォート」が出来たくらいの頃。

私は「宝塚バカ」の女子高生だったので、学校の友達と遊びに行くのも極々たまにでしたし、テレビを見たり流行を追ったりすることにも全く興味はありませんでした。

何より、ゴチャゴチャしていている新宿・池袋・渋谷が苦手でした。
何なら嫌悪感すらありました。
若者の溜まり場、マクドナルドも苦手でした。

母の大好きな銀座、東京宝塚劇場のある日比谷、バレエ教室のある神楽坂や恵比寿が当時の私の行動範囲であり、大好きな場所でした。

もちろん、流行りのお台場なんて行ったことがありません。

そんな若者らしくない私を見かねたのか、初めてのデートの時に、ネコザメさんは出来たばかりのヴィーナスフォートに私を連れて行ってくれました。

大型ショッピングモール的な場所は百貨店くらいしか行ったことがなかったので、色々なジャンルのお店がテーマパークの様に並んでいるヴィーナスフォートはとても新鮮でした。

出来たばかりの日曜日のお昼。
激混みです。

沢山の人がいる中でネコザメさんとこうして「カップル」として歩いている。

そんなデレデレとした考えで頭の許容量はいっぱいいっぱい。

肝心の、何をどうしたのか、買い物をしたのか、食事をしたのか…全く何も覚えておりません!!!!

とある日には、私が「ペアネックレス」をプレゼントしたりもしました。

二つのチャームがマグネットでくっつくと、一つのチャームになるデザインなのです。

すごく安物で、デザインも子供っぽいのに、ネコザメさんは喜んでいつもネックレスをつけてくれました。

でも、「デート」として丸一日かけて何処かに行った思い出はほとんどありません。

やはり、私もレッスンに時間を割いていましたし、宝塚の観劇にも行きたかったからです。

その代わり、メールは欠かさずに毎日打っていました。

■幸せって、何?

自分にとって特別な人。
誰かにとって特別な自分。

そんな関係が築けたことがとても嬉しくて、その時の感覚は大袈裟ではなく、世界が急に色づいた様でした。

ずっと触れたいと思っていた手。

その手が、ごく自然に自分のそばにある様になりました。

その手をつないで歩いている時、心から幸せでした。

驚くことに「宝塚には行かず、この人とずっと一緒に居れたら、それも幸せかもしれない」。

そんな気持ちが芽生えたりもしました。

あれだけ好きで、目を釣り上げて殺気立ちながら目指していた宝塚なのに、です。

もちろん、「そんなことではいけない」と気持ちを切り替え、熱心にレッスンに通い続けました。

ネコザメさんも私の夢を応援してくれていました。

…こうして、私の初恋は成就することとなりました。

お稽古と勉強と恋。
大忙しの16歳でした。

一体、この後二人はどうなっていくのでしょうか…。

その恋の顛末を書く前に、次回からは私の「初宝塚受験」について書いていきたいと思います。

なぜなら、この受験が、私のそれまでの考えを大きく変えるキッカケとなるからです。

ということで、本日はこれ切り…。
是非、次回も逢いにいらしてください♪

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