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叶姉妹以外にも使える”ゴージャス” #18

イギリスに来る前は、ゴージャス(Gorgeous)という単語は叶姉妹のような人や華美でラグジュアリーな何かにだけ使うものとばかり思っていた。

しかし、イギリス人は天気にもゴージャスを使うし、何より私が驚いたのは赤ちゃんにもゴージャスを使うことである。青空で、空気が澄んでいる気持ちの良い朝などは、みんなThe weather is so gorgeous!だなんて言っていて、まあ曇りがちでじめっとしたイギリスで、青空ってだけで素晴らしいからゴージャスを使う気持ちは理解できる。

そして、今年去年と、難民支援NPOでは結構出産ラッシュで、みんな妊婦のメンバーの赤ちゃんがいつ生まれるか生まれるかと心待ちにしていて、メンバーが乳母車で新生児とともにガーデンに訪れると、口々に「She's gorgeous!」と賛美の声をあげて乳母車の周りを囲んだものだった。

cuteでなく、”とても美しい”の意味でGorgeousを赤ちゃんに使う感覚は、赤ちゃんを一人の人間として、尊厳ある人間として扱っている感じが、私にはする。

私のゴージャスの使い方に驚いた話を、在英歴も長く、現地社会でイギリス人に混じって子育てをしているお母さんでもある友人に話したら、彼女がイギリス人の子育てについてこういう話を教えてくれた。子供を教え諭すとき、イギリス人はとても洗練された叱り方や諭し方をするからとても勉強になるという。頭ごなしに叱ったりするのでなく、いちいち言葉でなぜそうなるのかを説明する。そして、例えば「落とさないように!落としちゃだめ!」と日本人が言うような場面では、「しっかり持てるかな?」とチャレンジするように持っていって、子供のモチベーションを上げて誘導したりもするらしい。

私は常々、日本人のお母さんたちが子供におやつをあげて無理やり黙らそうとか何とかしようとしているのに、だいぶ疑問を持っていた。だから、イギリス式の言葉で静かに説明したり、言葉でうまいこと子供を乗せるというやり方は、いいなと思うし、そこには子供を「尊厳ある個体」として見る文化が背景にあるような気がしてならない。そしてそれって、「ゴージャス」を子供に使う感覚と相通じるのではないだろうか。

写真は、霧がかかったエディンバラ城。本当にイギリスらしい天気。

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