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わたしがアイドルになった日

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もうひとつの新しい制服を手にした日。

もうひとつの新しい制服を手にした日。

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最終審査を終え、スタジオに戻る。私の膝は緊張のあまり笑っていた。座るときにがくがくと震えていた。
落ち着けと言わんばかりにスタジオの床はひんやりと冷たかった。

しばらくしてふっと蜘蛛の糸が切れたかのように、ぴんと張っていた緊張の糸が切れた。基本的にあまり顔に出ないタイプだが、わたしだって緊張するときはする。
オーディション会場に向かう道中、審査のタイミングで名前を呼ばれた瞬間、審査

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わたしはどんな子に映っていたのだろうか

わたしはどんな子に映っていたのだろうか

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AKB48 9期研究生オーディション 最終審査、近くにたまたま座っていた子たちと雑談しながら自分の番を待つ。ギラギラしている子、制服姿の子、静かに待つ子、ぼーっと壁を見る子、千差万別。わたしは傍からはどんなふうに見えていたのだろか。

しばらくして、わたしの番がまわってきた。名前を呼ばれた数名で審査が行われる別のスタジオに移動した。

部屋に入り椅子に座る。
真ん中にはマイク、そして

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さくらんぼのリュックと黒の花柄ワンピースで挑んだ最終審査

さくらんぼのリュックと黒の花柄ワンピースで挑んだ最終審査

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最終審査当日。

わたしは千葉から電車に乗り、ひとりで最終審査のあるスタジオに向かった。

駅から最終審査会場に向かう途中、お母さんと一緒に歩く女の子と出会った。
「オーディションの会場ってどこですか?」
「たぶん、こっちだと思います。」
そんなやりとりをしただけ。

後日談だが、永尾まりやちゃんからこのことを聞かされた
「さくらんぼのリュックをしょった麻里子を見つけて、お母さん

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いきものがかり「茜色の約束」でお願いします。

いきものがかり「茜色の約束」でお願いします。

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「以上の方、いまお名前を呼ばれたかたはここまでとなります。お疲れ様でした。」

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不合格だと悟っていたわたしは、その言葉を聞いて一瞬固まった。
突然の出来事に、その一行を自分の中で複唱をした。

うん、二次審査合格ってことだ・・・そうだよね。

名前を呼ばれなかった・・・ということは、
名前をいま呼ばれなかったわたしは不合格じゃなくて、最終審査に進んだってことだ・・

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千葉県出身、15歳の中村麻里子です。

千葉県出身、15歳の中村麻里子です。

自分の名前呼ばれ、二次審査通過の安堵も束の間、
「もう一度お部屋に入っていただき、名前と年齢を言ってください」と言われ、再び審査員の部屋へ。
(出身地もあったかもしれない…文章の流れを止めてしまうけれど細かいことまで記しておきたくて書いてしまった…!すみません!)

二次審査を通過したと勘違いして高まってしまった気持ちと、
もう一度審査員の前に行くという緊張で、
自分の心臓がノックする音が一段と早

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二次審査とメープルビスケットとジンジャーエール

AKB48 9期研究生オーディション 二次審査当日。

どんな服を着ていったかは覚えてはいない。
化粧は施さずに「わたし」という素材そのもので挑んだ二次審査。
(と、かっこつけてみたが、化粧を知らない芋くささ満点の高校一年生だっただけだ。)

千葉から一人で電車に揺られ会場の最寄り駅に着く。可愛らしくキメている女の子を見るたびに「あっ、この子絶対一緒のオーディションだ」なんて思いながら、一人で会場

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知らない番号からの電話が嬉しかったあの日。

知らない番号からの電話が嬉しかったあの日。

15歳、高校一年生。わたしは「AKB48 9期研究生オーディション」に書類を送った。

15歳の私が夢見ていたのは「女優」
AKB48に特別憧れていただけわけではない。AKB48のコンセプトは”夢への通過点”… だからいつか実を結べば…との願いで応募したのだ。

何を書いたかはっきり覚えてはいないが、上半身、全身写真と一緒に特技にはモノマネと書いて応募した。
(当時応募した写真だと思わしきものを見

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