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【ピアノ】小犬のワルツというよりはティーカッププードルのワルツ

憎むべきコロナであるのは間違いないけれどもこの期間にピアノに出会えたことは幸いだと思う初秋。昨日は楽しみにしていた齊藤一也さんのピアノを聴きに行くことができた。

自由席ということで早めに到着して息遣いも聞こえるような良い席で出番を待った。東京芸大の高校から大学に進まれて、パリ国立高等音楽院やベルリン芸術大学で最優秀と言う方の生の演奏を、こんなに近くて、こんなに少人数で楽しませていただくことができるなんてどれだけ贅沢なことかしれない。

プログラムは以下のようだ。

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当然かもしれないがすべて暗譜されていることがそれだけでも信じられない。一緒に行った娘はバッハがとてもよかったという。私は初めて生で聴く「水の戯れ」の旋律がとても美しくてどなたかが日本酒を飲むときはこの曲をかけるとおっしゃっていたことが分かる気がする清冽さだと感じた。風や水の音を音楽で表現するということはこういうことなのだと耳を傾けた。

そしてカンパネラ。先月娘が発表会でチャレンジした曲だ。何と大それたことをしたものかとプロのカンパネラを聴いて余裕の演奏に圧倒される。聴衆の拍手もここでさらに大きくなったように思う。

後半のショパンはさすがにショパンコンクールにも出られている齊藤さんらしく通好みの曲ぞろい。今私はノクターン1番の譜読みをしているところだがノクターンを弾きたいと思うのが100年早いような気がしてきた。

最後の方でファンサービスなのかプログラムにはない「小犬のワルツ」を弾いてくださった。最初なんの曲だったかしらと思うくらい聞きなれている「小犬のワルツ」とはかけ離れて高尚な音楽のように感じて愛らしいこの曲もプロの手に掛かるとここまで違うと打ちのめされた。もはやそんじょそこらの小犬ではなく、セレブなペットショップに並んでいる毛色も血統もピカピカのティーカッププードルが踊っているとしか思えない。

そのあとでご自身が作曲された「小犬のワルツ」によるネコ好きのための即興曲がまた圧巻で、ショパンの「小犬のワルツ」に「ねこふんじゃった」を掛け合わせた楽しくも超絶技巧を駆使した曲だった。これを五線譜に落とすのはさぞ大変だったことと思うが今月出版されるということでぜひ入手したい。

いよいよ芸術の秋がやってくる。一流ピアニストのことをずぶの素人が書くとこのようなとりとめのないnoteにしかならないのが残念ではあるけれども、人それぞれの楽しみ方、味わい方というものが許されても良いかと書いてみた。このピアニストがこれからますます活躍されることを楽しみにしている。

皆様も良い秋の一日をお過ごしください。

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