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牛乳を飲んでいるあなたは仔牛なのか

少し衝撃的なタイトルになってしまいました。
Netflixのドキュメンタリー作品『Cowspiracy サステイナビリティ(持続可能性)の秘密』について最後の記事になります。1記事目2記事目からお読みくださいませ。

現在地球の3分の1は砂漠化していて、その主要因は家畜の放牧です。
鳥獣関係の研究をしていたアラン・セイボリーは砂漠化の対策としてさらなる放牧を勧めていました。彼は当時砂漠化の原因は象にあるとして4万頭を殺害させました。しかし14年間におよぶ大量虐殺を経ても状況は悪化するばかり。つまり彼の仮説は誤りでした。


家畜産業はアメリカの野生動物にも影を落とします。政府は野生の馬を捕まえ、野生に生息する数を上回る5万頭を収容施設に入れています。畜産農家たちは公共の土地を通常の15分の1ほどの値段で借りており、土地管理局は水と牧草の量を算出してそれを家畜の牛と野生動物に対しどう分配するか決めます。そしてもちろんその大半が家畜の牛に与えられています。

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畜産業が公共の土地を使うことで野生馬が犠牲になっています。家畜を狙う動物も殺害され、今はオオカミが標的です。
ある時はワシントン州の公有地にある農場で牛がオオカミに襲われた時、ワシントン州はオオカミを一匹残らず殺害しました。

元農場主のハワード・ライマンはテレビで実状を語り畜産業者に食品誹謗防止法で訴えられました。ハワードは人生の45年間を畜産に捧げ7000頭の牛を育ててきたので実状をよく知っています。法律の元では基本的に食品について虚偽の中傷をした者提訴することができますが、ハワードは番組内で嘘はついていません。番組に出た5年前は発言の真偽を問われましたが、今だったら真実だとしても有罪になるだろうと話します。そしてこの映画を作る危険性を理解していないなら今すぐカメラを捨てるべきだとも忠告しました。

問題は畜産より人工過多なのか

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問題は畜産より人工過多だと言う意見もあります。1812年の総人口は10億人で1912年には15億人に増えました。そしてその後100年で70億にまで膨れ上がっています。
さらに驚くべき数字が地球上に存在する家畜は700億に上ります。人類は毎日200億リットル近い水を飲み約10億キロの食料を食べます。一方15億頭の牛は毎日1700億リットルの水を飲み600億近い餌を食べています。人口ではなく人間が食べる動物こそ問題なのが分かります。

今も10億人が飢えに苦しんでいるのに農作物の半分は家畜の餌になっています。作物にもよるがアメリカでは70〜80%が家畜の餌用で大豆に至っては90%にも上ります。飢えに苦しむ子供達の82%は畜産業が盛んな国々で暮らしていますが、作られた製品は先進国へと送られていきます。今家畜に餌として与えている食料を人間が食べれば全ての人間が適切な食事を摂ることができます。
タンパク質であれば植物系のほうが食肉より15倍も多く生み出すことはできます。世界の90億人の人口が生きていくためには餌を作る土地が足りません。皆は生きていくには週50gくらいが妥当だと考えます。

牛乳を飲んでいるあなたは仔牛なのか?

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ここで気になるのが菜食主義で健康は保たれるのかということ。
トゥルノース・ヘルスセンターのマイケル医師は完全菜食主義になって32年が経つが、毎日数キロ走りサイクリングもするそう。そして酪農家で育ったのでよく知っているというのが、そもそも牛乳とは30キロの仔牛を180キロ近くまで急激に成長させるためのものです。仔牛を成長させるための液体であり含まれているホルモン・脂質・タンパク質・ナトリウム・成長因子などは全て仔牛の成長を目的としています。”あなたは仔牛か?”と患者に聞きます。違うなら飲むべきではないと断言します。人には必要ないのです。

植物を育てる肥料には動物の力が必要かと思われますが、動物の力を借りない農業がすでに存在していました。
アースワークス・アーバン・ファームでは収穫と同時に栄養素を土に返しています。人口が毎日21万千6千人増えている今、完全菜食主義者に必要な農地は4000平方メートルに対し卵と乳製品を食べる場合は面積が3倍になり、アメリカの平均的な肉食者は18倍の土地を必要とします。野菜は600平方メートルで17トンを収穫できるが食肉は同じ面積で170キロしか作ることができません

カリフォルニア住民1人が肉食をやめれば1.4トンのニ酸化炭素排出を削減できます。菜食主義になれば1.6トン、完全菜食主義なら1.8トン削減でき太陽光発電やハイブリッド車より効果的です。二酸化炭素の排出量は肉食者の半分化石燃料の消費は11分の1、水は13分の1で土地利用は18分の1になります。1日の考えても違いは大きいです。4万リットルの水に20キロ分の穀物、3平方メートルの森林、5キロ分の二酸化炭素、そして動物一匹の命。

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皆が完全菜食主義を選択し食糧を動物性から植物性に換えたらどうなるでしょうか?動物を食べないのであれば牛や鶏や魚の繁殖は不要になり、繁殖し続けなくていいのなら餌も必要なくなります。
餌が必要ないなら穀物や豆類も必要なく、それを育てる畑も不要なら森林が復活して野生動物も戻ります。海も復活し川の水や空気も綺麗になり人々は健康になります。

人が本来あるべき思いやりや誠実さや優しさを取り戻せば、卵やステーキあ鶏を食べる前に”自分が食べたいのは本当にこれか?”と考えるでしょう。
私たちはそろそろ地球に恩返しをする時ではないでしょうか。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。私は2年前位にこの作品を夫に勧められて観ましたが、流し見だったこともあり「牛肉を家で食べるのはやめよう」位に思っていました。そこから自宅で牛肉を食べるのはやめていましたが、鶏肉は毎日食べていて豚肉もよく食卓に出していました。

今回、世界一周中にコロナウイルスの影響で自主隔離生活を送るなかで知り合いの勧めで超少食ファスティングを経験しました。1週間植物性の食事だけを最小限摂るという経験から「もう一度食について真剣に考えてみよう」と思いこの作品を鑑賞しました。結果、本当に観てよかったと思います。逆にこれをもう一度見直さないまま世界一周を続けていたらどんな食生活をして何を感じていたんだと考えると怖くなる気持ちさえあります。

もちろんこの作品の全てが事実かどうかは分かりませんし、まだまだ勉強しなければいけません。今は便利な時代でNetflixやYouTubeなど分かりやすく映像で観れるコンテンツが沢山あります。私達の大切な地球を守るために、まずは知ることから始めませんか?

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