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公衆衛生を学ぶなら -国内 or 海外大学院-

お久しぶりです!

前回の記事を書いてからはや1年半近く、1回の転職を経て現在は医療機器開発のベンチャー企業(https://aillis.jp/)で働いています。

紆余曲折あり、2022年春より東京大学の公共健康医学専攻(以下、東大SPH)に進学する運びとなりましたので、その経緯について書きます。

自身、学部は社会科学系専攻かつ非医療職なのですが、こんな人でも公衆衛生学修士(MPH)への道は開かれているということ、また海外/国内大学院を両方受験するというレア(?)な経験をしているので、その紆余曲折についてもお伝えできればと思っています。

本記事で書くこと

・海外/国内で公衆衛生を学ぶこと、そのメリデメ

あくまで入学前の時点での情報ですので、特に海外大学院を目指す方は進学された方のブログ等を参考にしてくださいね。

書かないこと

下記はそれぞれ膨大なテーマですので、他の機会に書こうかなと思います。
 ・なぜ非医療職からMPHを目指したか?
・大学院受験について(受験校/受験対策)

こと東大SPHに関しては、受験生の間で名高い神ブログ(https://ameblo.jp/tootsieroll-29/)をはじめ多数の在籍生/卒業生が情報発信されていますので、それで十分です!

お恥ずかしながら、以下のスケジュールで今に至ります。足掛け3年かかっていますね、長かった…

2019年冬 イギリス&欧州MPHプログラム出願

2020年春 1校より合格通知。この頃オンライン診療を手掛ける企業に転職↓
2020年夏 コロナ蔓延により進学延期。

2020年冬 追加で2校出願(前回不合格校のリベンジ) この頃現職へ。

2021年春~夏 追加出願校合格ならず、紆余曲折あり国内大学院にシフト(2ヶ月間悩みに悩みました)

2022年春 東大SPH進学予定。

なぜ海外大学院を目指していたか

・「公衆衛生」という学問の歴史の長さや認知度

この観点では、産業革命に伴う衛生環境の悪化を経験したイギリス、そしてアメリカに軍配が上がるのではと思います。

学科構成上も、例えばこの大学等、学士課程からPublic Healthが独立して存在するケースも海外だとありますが、日本では多くが医学部や看護学部のいち必修科目としての位置づけであり、公衆衛生「学」として学べるのは修士課程からです。

また、検討する中でこちらの本を読んだのですが、やはり2000年代までは公衆衛生を学ぶ≒留学 が必然の進路だったのだろうなという印象です。

とはいえ、国内では2000年代から公衆衛生大学院が設立されはじめ、今では諸外国に引けを取らない恵まれた環境で学ぶことができます。国内でMPHが取得出来る大学院はこちら、最近では社会人学生歓迎の神奈川のヘルスイノベーションスクール等も設立されています。

・英語で学べるということ

私は「卒後はWHOで働きたい」等、進路上明確な海外志向があるわけではないのですが、そうでないにせよ、日本語Onlyより英語も交えた方がより多くの学術情報に触れられるのは確実ですし、日常から英語に触れる環境にいたいと思っていました。

ただ、研究では必然的に英語で文献を読み込みますし、卒業生のネットワークや研究室等他の側面を考慮すると、この点の優先順位はあまり高くないと結論づけました。

また、国内でも長崎大や東大の国際保健学等英語で学位取得が可能な所もありますので、興味のある方は候補にしてみてください。

・奨学金

留学を希望される多くの方がご存知の通り、海外大学院、特にアメリカ、イギリスの学費は高いです>< 生活費も含めると、1年制であれば500万、2年制であればそれ以上はかかります。

職場(企業や医療機関)派遣での留学の場合、費用を気にしなくて良いのは最大のメリットですが、自費での進学を志望する場合最大のネックですよね。

実際に10程度の奨学金に申し込みましたが、1つ1つの応募コストが大きい(大抵エッセイ1,2つ+場合によっては推薦状添付)割に、オファーをもらえず(悲)、自費で進学することとなりました。

無論、全額自費で賄うことも見越して準備は進めていたものの、その他の観点(卒業生の人脈、研究室 etc)を考慮すると、合格していた学校にそこまでのコストを払って進学するのは最善の選択ではないだろう、という結論に至りました。

最終的に国内、東大SPHにした理由

進学の目的が、「MPHの学位を得ること」、「公衆衛生の基礎を学ぶこと」であれば、国内外どちらでも実現可能です。悩みに悩んだ結果、私が東大SPHに至った決めては以下です。

・関心を持つ分野の研究室があること

個別の疾患の治癒や健康を取り扱う臨床医学とは対照的に、公衆衛生は社会全体での健康に関わること全て(国際保健や感染症対策、厚生福祉 etc )を指す、非常に幅広い学問領域です。

あらゆる分野の修士、博士課程で言えることですが、広い学問領域の中で自らがどのテーマを突き詰めたいのか?該当の研究ができる環境があることが、大学院選びにあたって最も重要だと思います。

・授業以外での共同研究等の機会が豊富

海外、特にイギリスの場合は1年で修士学位が取得できますが、その場合どうしても座学が中心という話を聞きます(もちろん学校のカリキュラムにより異なりますし、卒後インターン等をするという選択肢もあります)。

学外の行政や企業と研究をしたいという希望がある場合は、コネクションが豊富な国内の研究室に所属するメリットは大きいと思われます。

・入学後に研究室所属を決定できる

これは東大SPHに特有かと思われますが(もし他大でも同じであればご指摘ください!)、研究室の配属が入学後になることは、特に学問領域に明るくない私にとってメリットが大きかったです。既に論文執筆をされている医療者の方にとっては心配いらないのかもしれませんが、研究テーマ☓研究手法の地図を持たない自分にとって、学びながら決められるのは魅力的でした。

もちろん入試準備の過程で、ある程度マッチする研究室候補の目処をつけることは必須ですが、特に非医療学部出身の方は検討要素になりうるのではないでしょうか。

・同窓生、卒業生とのつながり

この価値は卒後になって実感すると思いますが、声を挙げてみると卒業生は意外と身近にいて、入学前から様々なアドバイスを頂けています。感謝!!

例えば、卒後海外でこの職に就きたい!という明確なプランがある場合は別ですが、MPHは他の専門職大学院と異なり、学位により就職場所が差別化されることが少ない(一部、WHO等の機関で働くには、応募条件である場合もあります)ので、「臨床に戻る」という選択肢を持たない、或いは医療職でも研究職/ビジネスサイドに移りたいと考えている人にとっては、在籍中の研究や卒後のキャリアの情報共有ができる縦横のつながりは意義があると思います。

さいごに

書いてみると、意外とシンプルやん!と思いつつ、短いタイムラインだったこともあり決定までの過程は想像以上に苦しかったですし、前職や現職の同僚や卒業生等、色んな方に相談させていただきました。

この場を借りて感謝を表すと共に、大学院進学を検討している人にとって、少しでも参考になれば良いなと思います。

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