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そろそろシリーズの終わりを考えても良い気もする~『もういちど しゃばけシリーズ20』(畠中恵)~

「しゃばけ」シリーズ第20弾です。

↑kindle版


今回は若だんなが天の星の代替わりに巻き込まれ、何と赤子に戻ってしまうところから話が始まります。元の年齢に戻っていく過程で、病弱で思うように過ごせなかった子ども時代を、「もういちど」生き直すことになります。

とはいえ例のごとく様々な騒動に巻き込まれ、妖たちの助けを借りつつ事件を解決していくという流れは健在です。赤子に戻ったことで、なぜか丈夫になった若だんなが、いつもよりは自分の身体を使って事件解決に奔走できていますが。

「鬼に衣」という慣用句は、初めて知りました。「一見は慈悲深そうに見えても、実は鬼のように恐ろしい」ことを言うそうです。

なお今回、若だんなの親友の栄吉の縁談話が出るのですが、あんなに身勝手な子で良いのでしょうか。まぁ身勝手には理由があったわけですが、それにしても……。縁談がつぶれないよう奔走する若だんなに、疑問を感じました。場久の、「栄吉さん、前にも縁談が駄目になっていましたよね? なら、今度も諦めちゃどうでしょう」という言葉が、しごく真っ当に感じたのですが。

マンネリを脱しようという工夫が前の巻同様見られ、それはそれで評価できますが、そろそろシリーズの終わりを考えても良いのではないかとも思います。あるいは私自身が、そろそろこのシリーズを読むのをやめても良いのかもしれない。でもまぁ、次の巻が出れば、読んでしまうのでしょうけど。

見出し画像は、吉野の櫻本坊の手水鉢の龍です。今回は龍神が、ある意味キープレイヤーなので。


↑文庫本



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