見出し画像

【読書】1巻に比べ、大化けしている~『烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ』(阿部智里)~

*この記事は2020年4月のブログの記事を再構成したものです。


「八咫烏シリーズ」第1巻の『烏に単は似合わない』とほぼ同時期のことを、別の視点から見た話です。といっても、1巻ではほとんど登場しなかった人たちの話なので、独立した話と言えなくもないですが。

↑kindle版


2巻から面白くなる、という噂は嘘ではなく、確かに1巻より格段に面白かったです。これだけ大化けする作家も、あまりいないと思います。矛盾や視点の揺らぎ、文法のミスも格段に減ったし、そもそも面白いので、そういった些細な傷はあまり気にならないです。


ただ、逆にこれだけ1巻の時より腕を上げたなら、なぜ1巻を文庫化した時に、もっと手を加えなかったのかが謎です。少なくとも文法のミスとかは、直せたはず。そうすれば、1巻で挫折する人が減ると思うのに、もったいない。


どうしても1ケ所だけ許せないのは、「間違え」という名詞。私は1巻は文庫版で、2巻はハードカバーで読んだのですが、どちらにも見受けられました。2巻を文庫化した時に直したかは不明ですが、1巻で直していない以上、直さなかっただろうな。あまり本を読みなれていない小学生が犯しそうなミスですが、「間違える」という動詞と「間違い」という名詞はあっても、「間違え」という名詞はない。作者は幼少時から多くの本を読んできたようですが、量はともかく、質が伴っていなかったのではないかと疑ってしまいます。


こうしてディスりつつも、3巻も読みますよ。題名の意味が最後の最後で分かる、つまり最後まで意外な展開が待っているという意味では、うまいと思いますし、相変わらず鋭い視点が見られ、魅力的な話であることは事実なので。


見出し画像には「みんなのフォトギャラリー」から、カラスの写真を使わせていただきました。


↑文庫版



この記事が参加している募集

記事の内容が、お役に立てれば幸いです。頂いたサポートは、記事を書くための書籍の購入代や映画のチケット代などの軍資金として、ありがたく使わせていただきます。