教員として薄々感じていたことを、再確認させられる本でした。
↑kindle版
最初に著者の新井さんは、断言します。
ちなみにシンギュラリティとは、
そして「真の意味でのAI」とは、「人間の一般的な知能と同等レベルの知能」のことです。
なぜ「AIが人間に取って代わ」れないかというと、
一瞬ほっとしそうですが、新井さんの描く未来予想図は暗いです。
ちなみに新井さんは、AIの東大への合格を目指す東ロボくんのプロジェクトで有名な数学者です。プロジェクトの目的は、東大合格自体ではなかったということには驚きました。
その結果はというと、
東ロボくん、すごいね、という話ではなく、本当に「多くのホワイトカラーの職がAIに奪われ」かねないのです。
ちなみに私、平均値はともかく、中央値を理解していませんでした。中央値は、「全部の値を小さい順に並べ、ちょうど真ん中の値」のことでした。
じゃあ、AIなんて導入しなければいいのかというと、そういうわけにはいきません。
AIに仕事を奪われた人の大半が、AIにはできない仕事ににつけなければ、
で、「現代社会に生きる私たちの多くは、AIには肩代わりできない種類の仕事を不足なくうまくやっていけるだけの読解力や常識、あるいは柔軟性や発想力を十分に備えているでしょうか」という話になっていくわけですが、読解力1つとっても、恐ろしい状況にあるわけです。まさに題名通り、「教科書が読めない子どもたち」が大勢いるわけです。
新井さんたちの調査で判明した、その驚愕するような実態は本書の記述に譲ります。
近年の生徒の多くは、実感としてこれら3つの力が落ちています。というか、本当に読解力がないのです。試験でも問題文をきちんと読まず、指示に従わない子が多いです。「自分で作った問題に、自分で答えている」とでも言えば良いのでしょうか。
また、文章で答えさせる問題で、常識に照らしてありえないことを書く生徒も少なくないです。具体例は書けませんが、知識の問題ではなく、常識的に考えてありえないことを書くのです。
結構これ、読んでめげました。とりあえず自分が作る問題には、推論、イメージ同定、具体例同定の3つを必要とする問題を盛り込もうと思います。
私はもともと、アクティブ・ラーニングには否定的です。実践例を見ていても、自分の実感としても、きちんとした知識なしに、上っ面な知識で話してしまう生徒が少なからずいるので。
新井さんの意見を読み、ますますアクティブ・ラーニングなんて、という気持ちになってしまいました。アクティブラーニングを扱った本についての感想が、以下の記事です。
じゃあ未来は絶望的かというと、新井さんは最後にこんな提案をしています。
本筋以外で、印象に残った言葉。
見出し画像には、「みんなのフォトギャラリー」で「教科書」で検索して出てきたイラストを使わせていただきました。
↑単行本