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看護師のあたし、カラフルな人生

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看護師になるまでのあたし、看護師として、地域の診療所から病棟、救急外来、手術室、緩和ケア病棟などで働いてきたあたし。そこで出会った人々のお話しです。人生はカラフルです。
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2022年9月の記事一覧

行楽の秋に想う

行楽の秋、看護師になって初めて勤務をした病院は患者会の活動が盛んで、外科患者会に属してい…

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悪ふざけもほどほどに

「えー!何やってるんですか!」 病棟では大声は厳禁ですが、たまらず大声をあげてしまいまし…

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食べるということ

食べる。 これは何も口から食べるだけの行為ではありません。目でも鼻でも、耳でも、楽しめる…

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ワンコも会いたい

人間の家族は面会オッケーなのに、犬や猫はどうしてダメなの。なんて理由はなんとなく分かるの…

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入院も退院も表から

病院で亡くなると、多くの病院が裏口からの退院を今でもしているのかしら。 あたしが勤めた病…

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鉛筆型のキーファインダー

あたしの受け持ち患者さん、毎日、緩和ケア病棟から自宅へ戻り、好きな木工作りに勤しんでいま…

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繋がっていたい

大切な人を独りで逝かせたくない。 そう思って、ある人は病室内にあるトイレを使うときも入口を開け放していた。ある人はお風呂に入っている間に容態が変わることを心配して、ずっと体を拭いていた。 また、ある人は自分の手首と相手の手首とを紐で繋いで、少しでも相手が動いたら気づくようにしていた。 どうして人は繋がっていたい、絆が欲しいと思うのだろう。 執着しやすいわたしは、自分から求めた絆に自分ががんじがらめになる。だから、あまり人やモノへの執着心は持たない。いや、持つけれど、持

老いと尊厳と

高知は山が多い県だ。こんなところにも人が住んでいるの?と感心するくらい、山に張りつくよう…

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懲りない奴ら

「夜勤はいつで?」 同僚看護師の白さん、彼女の受け持ちさんが聞いてくる。白さんとあたしは…

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川の字になって

「お父さん、仕事に行ってくるき」 ふたりの娘さんが出勤していく。彼の父親は癌の末期で、緩…

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いつかはオムツ

オムツ、大切なアイテムであることは分かっちゃいるけど、この名前が気にくわない。 どうして…

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彼のいた椅子

廊下の突き当たり、右側の角部屋が彼の病室でした。部屋は狭いけれど角部屋、窓が東と南にあっ…

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母娘

彼女の病室は、異臭が充満していた。 ナースコールが鳴っても、彼女の病室と分かると行きたが…

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バディ

50歳代の独身男性の彼、癌になっても面倒をみてくれる身寄りもなくて、唯一のバディはお喋りをする人形ということでした。 何故か、少し風変わりな患者さんが来ると、師長はあたしを担当看護師にするのでした。 さっそく彼の部屋に挨拶にいった。身長は50センチほど、栗色の髪は綺麗な赤いリボンで結わえられ、コーディネートしたのか、赤いドレスを着た人形が椅子に座っていました。 「マコちゃんです、よろしく!」 自分の名前ではなく、バディの人形の名前を告げました。 ほ~、そうきましたか