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#ショートストーリー
【カラオケで出会う#2】ヨルシカ:ただ君に晴れ
歌太郎はカラオケ大好きの大学生。
気がつくと、彼はカラオケで歌うことに飽き足らず、カラオケでのバイトをするようになった。彼は歌を歌うという行為というよりも、カラオケという空間に属することを好んでいるようであった。
パチパチパチ
歌太郎がトイレ掃除をしていると、電球が消えゆく魂のように点滅した。どうやら、電球の寿命が来たようだ。
パチパチパチッ
点滅するごとに、周囲に一瞬の暗闇が訪れ、すぐに
【カラオケで出会う#1】ゆず:栄光の架橋
カラオケ大好き歌太郎(うたたろう)は、好きが高じてカラオケでバイトをしている。最寄り駅の北口前にある円状のバス乗り場を脇にそれたところに居酒屋が並んだ通りがあって、歌太郎が勤めているカラオケはその通りを5分ごど歩いた先にあった。歌太郎がそこでバイトをはじめてから早半年が過ぎようとしていた。
「いらっしゃいませ」
一人のご老人が来店された。時間は昼間の3時。ご老人は背丈は高くなかったが、薄いブラ
オオカミである罪【掌編】
「動物占いしたことある?」
と彼は聞いてきた。
彼と僕はバイト先でまだ知り合ったばかりだったので、そういった類の質問を繰り返していたのだ。
大学、学部、年齢、血液型、家族構成・・・云々。
そうやって、お互いの情報を共有することで、その人の輪郭を確かめ合い、その人が分かったような気になるというわけだ。
「動物占いか、昔本で読んだことあるよ。」僕は中高生くらいの時の記憶を手繰り寄せながら答えた。