第七の叫び-子供なりのバランス
親のいいなりに生きてきた。
父親は、
「いい大学に入れば、一生楽をできる」
と繰り返し言ってきた。
この言葉について今思えば、二つの意味で大嘘だとわかる。
一つは、「いい大学を卒業したからといって、悠々自適の人生が保証されるわけではない」ということ。
もう一つは、「本音は自らの学歴コンプレックスを子供を使って代理実現させようとしたのを、巧妙に言葉を変えて子供をだました(だませたつもりになっているのだろうか)」こと。
なにかがおかしい、とは思っていた。なにかが。
だが、18歳未満の自分はあまりに無力だった。
機嫌を損ねると、ご飯が与えられなくなる。
昼ごはんの給食だけで過ごさなくてはならない。
母親はなんで僕を守らなかったのだろう。
高校入試まではひたすら親のいう「いい大学」に行けそうな道のりを歩んできた。
自分の意思はなかった。まるで抜け殻だ。
そんな僕でも、高校に入ってから将来学びたい分野が見つかった。
例によって自分の願望を口にすれば、たちまち封殺されるかもしれない、という恐怖があった。
だが、
「学びたい分野が何であれ、それが『いい大学』であれば、親も認めてくれるだろう」。
そう考えた。
いわば「いい大学に入れ」という親の願望と、「学びたい勉強をやる」という自分の夢の間でバランスを取ろうとしていたのだ。
だが、それを口にしたとたん、またしても悲劇は襲った。
-つづく-
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