77. マーチングとマズローの5段階欲求｜鶴巻敬

Marching notes™️ byマーチング祭®︎/ 103notes

2023年6月12日 16:04

１｜リクルートに活かせる心理学

「マズローの欲求5段階説」というのを耳にしたことはありますか？

マズローとはアメリカの心理学者 Abraham Maslowアブラハム・マズロー（以下マズロー）氏のことです。
マズローの著書『人間性の心理学』で提唱した「マズローの欲求5段階説」によって世界に特に知られるようになりました。

最近、身近なとこで「マズローの5段階欲求」の話が出て、
「これってマーチングに当てはめるとどうなるだろ？」
「マーチングバンドのリクルートに活かせるんじゃないか？」
と考えてみました。

マーチングバンドにおいて新しいメンバーを集めることは大きな課題で、どこのバンドもこの時期（4〜6月）は、リクルート活動に励みます。
本稿がマーチングバンドのメンバーの満足度向上やリクルート活動のヒントになれば幸いです。

２｜マズローの５段階欲求

マズローは「人間には5段階の欲求がある」と提唱しました。

下から順に、
1 生理的欲求
　食欲・睡眠欲・性欲など基本的な欲求。
2 安全の欲求
　身体的、経済的にも安全であること。
3 社会的欲求　
「みんなと一緒がいい」「仲間はずれはイヤだ」ということ。
4 承認の欲求
　他の人から認められたいということ。
　承認欲求は高位と低位に分けられたりもします。
5 自己実現の欲求
　自分らしく生きたい、夢を実現したい、など。

マズローは「生理的欲求（衣食住）」が満たされると次の「安全の欲求（経済的に豊かになりたいなど）」に欲求が移行していくように低次の欲求が満たされていくと、徐々に欲求が高次のものへ移行していくと提唱しました。

３｜マーチングバンドに当てはめてみる

マーチングバンドのメンバーとしてはどれが多いか。
「すごいねって言われたい」
「あなたがいて良かったと言われたい」
などの承認の欲求 や、
「みんながいるから」
「友人が入団したから」
などの社会的欲求などかもしれないですね。

（人それぞれですが）シーズンの活動を通して
「私らしく生きたい」
というの自己実現の欲求 まで引き上げられるといいですね。

４｜マズローの５段階欲求を転用する

まずはチームみんなで「4. 承認の欲求」を満たす活動がどのようなものかを考え、活動を充実されると良いです。
例えば、メンバー同士で本当に感謝し合ったり、「あなたがいてくれて良かった」という気持ちを通じ合わせられる取り組みを入れたりして、「自分がいて良い」「必要とされている」と感じられるようにします。

次に「5.自己実現の欲求」を満たす。
『自分自身がどうなりたいか？』
『自分がもっと輝きたい！』
『（マーチングに夢を持っていれば）夢を叶えたい！』
自己実現を可能にできる場を用意してあげること。
または、自己実現を実感できる場所になることがチームにとって大事です。

例えば「こうやってパフォーマンスしたらカッコいいよ」でもいいし、「国内にはこんな場があって、海外にはこんなチャンスがあって……」と伝えてもいい。DCIなどは「夢を叶えたい」自己実現の欲求そのものですね。

高次の欲求を満たした時、実感した時、
そのメンバーはチームから離れることはないでしょう。
「自己実現の欲求」を満たせている状態においては、『みんな辞めるから、お前も辞めようぜ』と社会的欲求を突っつかれても動じません。

高次の欲求を満たすにはどうしたらいいか？
を考えることは、メンバーの定着率を上げたり、リクルートする際には大事だと思います。

５｜メンバーが輝ける場所を用意する

メンバーが輝ける場所を用意すること。
マーチングにおいては、そのもっとも大きなものが「本番」です。
（練習でも輝けるようにできるとさらに良いですが）
だからこそ本番の機会は多いほど良い。
一年練習を重ねた結果を発表する機会が「たった数回の本番」だけではまだまだ少ないと思います。メンバーが欲求を満たして輝ける機会をつくることは、実はメンバーの活動満足度を向上させることにもなるのです。　

　是非、チームみんなで工夫しながら、メンバーが満たされるいろいろな場面を用意してあげてください。
マーチング祭も、様々な輝ける場所を準備してお待ちしています。