子供達に会えない日々
外国に住むという事は、色々なカルチャーショックを経験するという事である。
そして、それを受け入れながら生活していかなければいけない。
離婚において私の一番のカルチャーショックは、子供の「親権」に対する考え方だった。
日本は「単独親権」。
離婚後、子供はどちらかの親と一緒に住む事になる。
親権を持つ親が子供に関する事を決められる権利を持ち、親権を持たないもう片方の親とは疎遠になっていく事も珍しくはない。
私にも日本でシングルマザーをしている友人がいるが、父親とは月1回の面会だけだという。
かたや、ベルギー(というか欧米の殆どの国)は「共同親権」である。
これは、離婚後も子供に関する事を決められる権利は両親ともにあるという事である。
なので、離婚して「はい、さようなら!」では済まないのだ。
子供の学校はどこにするか、習い事は何にするか、子供の住む場所はどこにするか等々、子供に関する事は全て両親で話し合って決めなければいけないのだ。
これが、関係性が拗れまくった両親にとっては、非常に厄介なのだ。
私たちが裁判していた時、私たちの前にいた両親は「子供を空手かサッカーの習い事、どちらに入れるか」で裁判していた。
そんな事で裁判⁉️と思うかもしれない。正直、私もそう思った。
けれど多分、問題なのはどの習い事をさせるかではなくて、相手の思い通りにはさせたくない、という事なんだと思う。
関係が拗れれば拗れるほど、相手に対する憎しみなどのネガティブな気持ちが強くなり(あるいはネガティブな気持ちがあるからこそ、関係が拗れるのか・・・)、どうしても相手の考えを受け入れたくないんだと思う。
なので、子供たちの事を決めなければいけないたびに、裁判に行っている両親もいるのだ。
子供達が成人するまでは、もう片方の親とは縁を切りたくても切れないのだ。
私も、これからも色々揉める可能性がある事を考えると、正直気持ちがすごく落ち込む。
いざという時に揉めたくないからこそ、今は出来るだけ良好な関係を築こうと努力している。
浮気されて、日本に帰っちゃダメと言われて、1人で妊娠・出産を経験して、腹わた煮えくりかえるほど元旦那の事を恨んで、復讐心でいっぱいだった頃に比べると大きな進歩である。
まだまだ気持ちの整理が必要な部分はたくさんあるのだが・・・
共同親権の国は、子供がどちらの親とも会う事を非常に大事にしている。日本のように、面会は月1とかは考えられないのだ。
大概の離婚した家庭は、子供がどちらの親とも50%ずつ一緒に暮らせるようにしている。一般的なのが、1週間ごとに子供は両親の家を行き来するスタイルだ。
例えば、今週は母親の家に住んで、来週は父親の家に住むといった具合だ。
もちろん、学校もその時にいる家から通う。
学校が長期休みの場合も、子供たちは両親どちらとも半々ずつ暮らすのが普通である。
私の場合は色々な事情があり、学校がある時は子供達は基本私と一緒に住み、隔週末だけ父親の家に行っている。
けれど、学校長期休みの半分は、父親のところに行っている。
シングルで誰の助けも無く育児をして、子供に虐待してしまったりネグレクトしてしまったり、そこまでは行かなくても息抜き出来る場もなく、精神的に追い詰められている日本のシングル家庭を見ると、この共同親権のシステムも悪くはないと思う。
子供がもう片方の親の家に行っている時、息抜きする時間が定期的に与えられるのだ。
自分が子供を見ないといけない時に、子供を預けて外出したりすると罪悪感を感じる人もいると思う。
けれど、子供達が父親の家に行くのはもう決まっていて、私にはコントロール出来ない事なので、この間に自由時間を持つ事に罪悪感も感じない。
むしろ日本は、両親(特に母親)が自由時間を持つ事に罪悪感を持つ人がかなり多いと思う。
ベルギーでは、親も1人の人間だから、自由な時間を持って息抜きする事は大切だと考えているのだ。だからこそ、そこに罪悪感はない。
そんなこんなで、我が家の子供達も今は父親の家にいる。
今で1週間になるのだが、やはり寂しい。
自分のペースで生活出来て、なんだか独身時代に戻ったようだが、やっぱり子供がいなかった時のようには戻れない。
頭の片隅にいつも子供達がいて、寂しくなっては携帯の中に入っている写真や動画を見る毎日である。
だけど同時に、この時間は今の私にとってすごく必要な物だとも思う。
どんなに子供が大好きな親でも、自分だけの時間、息抜きする時間は大切なのだ。
自分に優しくなる事で、子供にもさらに優しくなる事が出来るようになると思う。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?