塩でブレスレットの錆をおとす
二度と会うことの叶わないひと
15年ほど前に餞別でもらった、シルバーのブレスレット。一年に数度メールでのやりとりをしていたが2、3年ほど前から返信が途絶えた。
当時の相手のご年齢からして、二度と会うことも話すことも叶わないと思っている。
それだけに、実家に帰省した折に見つけて喜びと切なさが湧いてきた。
腕にはめてみて
頂いた15年前より、しっくりきた。
だいぶ黒ずんでいるが腕にはまだはめられる。一日中腕につけていても痒くならない。とても軽い。
もともと、アクセサリーは片手で足りるほどしか持っていない。「わたしの」と胸を張って言える貴重なものの一つだ。そのまま自宅に持ち帰ることに決めた。
重曹がないよ、さあ、どうする?
とあるブログで、銀のカトラリーを重曹でぐつぐつ煮てぴかぴかにしていた。わが家に重曹は、ない。
さて、どうする。
調べてみたら、重曹ではなく塩でも綺麗になるらしい。家にあるのは藻塩。
ものは試し。よし、やってみよう。
塩でシルバーの黒ずみをおとす
参考にしたサイト👇️
腕まで一皮むけたみたい
20分放置したらピンセットなどで取り出して、濡れタオル(眼鏡拭きを濡らしても良いらしい)でごしごし磨く。
自分の目で見たらそこまで光っていると思えなかったが、写真におさめたらエフェクトをかけずとも日焼けした自分の腕までが白んで見えた。
「凄い」と思わず声が出た。
数年ぶりのお出かけ
再会の叶わないひとからの贈りものを数年ぶりに身につけたまま外に出た。
用事をすませたその足で、知人のカフェに寄る。
いっしょにメニューを見たかった。
もういちど斜(はす)向かいに座りたかった。
あのおおきな瞳を向けて、わたしの名を呼ぶ声がもう一度聞きたかった。
錆を落として歓喜したはずが、もう二度と触れられぬ哀しさに身のおき場がなくなってしまった。
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