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鴨長明「方丈記」とミニマリスト

平安時代末期~鎌倉時代の元祖ミニマリスト、鴨長明!
約5.5畳のワンルーム「方丈庵」に住み、しかも庵は分解して車2台で運べるモバイルハウスだったと言うから驚きです。
趣味の楽器、琵琶と琴は折り畳み式。筋金入りですね。
狭いながらも、念仏のスペースと趣味のスペースはついたてで分けて、粋な暮らしをしていたようです。

この方丈庵で書かれたのが、日本古典三大随筆として有名な「方丈記」。

~行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし~

すべての物はうつろい消え行く、この世ははかない、という無常感と末法思想をもとに書かれたエッセイです。

出世の夢敗れ、災害や飢饉、新興権力に翻弄される都に嫌気がさした鴨長明は、出家して世捨て人となり、都から離れた山奥で、質素でも、必要最小限でお気に入りの物だけに囲まれて、心静かにシンプルライフを満喫します。
ドヤ顔で、住まいの様子を事細かに描写しているのがおもしろいです。ミニマリストのブロガーやYoutuberに通じるものがあります(笑)。

ところが方丈記の最後では、ミニマリスト的な生活に執着しているのではないか、それは煩悩ではないだろうかと、筆を置くのでした。

「方丈記」は短く簡潔にまとめられていて、1時間もあれば読める古典です。
文体も無駄がなくリズムが心地よい。
ミニマリストに必要なエッセンスが詰まった、必読書だと思います!

トップの画像は、日本の「無」の文化に魅せられたニース出身の近代アーティスト、イヴ・クラインの展覧会のものです。

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