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【映画】大傑作映画『BLUE GIANT』について語りたい

現在公開中の映画『BLUE GIANT』。
公開後すぐに鑑賞してめちゃくちゃに感動し、その後2回目を観に行ってまたもや号泣して、その後もまだまだ感動冷めやらず、どこかにこの想いをぶつけたい…!と思ってこれを書いています✍🏻

極力ネタバレは避けますが、わたしのように一切の前情報を入れたくないネタバレ反対過激派の方はこのページを閉じ、今すぐ映画のチケットを買って映画館へ行ってくださいね。お願いします🙏🏻

映画『BLUE GIANT』とは

シリーズ累計920万部突破を突破している漫画作品が原作のアニメーション映画です。「世界一のジャズプレイヤー」を目指す主人公・宮沢大の物語。映画は原作の4巻、大が仙台から上京するところから始まります。

とはいえ、ジャズや音楽に詳しくなくとも原作を読んでいなくとも、観る人を選ばず誰もが楽しめる作品なので、もしまだ観ていない方がいるならば今すぐにお近くの映画館のチケット予約して観に行ってきてください、どうかお願いします…!!この作品は絶対に映画館で観るべき作品で、この作品を見逃すのはあまりにもったいなさすぎる…!!!

【感想】青春映画としても音楽映画としても大傑作

青春映画としてのBLUE GIANT

青春は終わりがあるからこそ美しい、とわたしは思っています。
「人間、いくつになっても青春できる!」みたいな考えもあるし確かにそれも分かるんですが、それでもやっぱりあの10代の頃の青春って他とは違う、人生に1度きりの宝石みたいな時間だと思うんです。
で、この作品はまさにわたしの思う「青春の始まりから終わり」までがしっかりと描かれていて、それがもう本当に良くて…!
夢や希望みたいなキラキラした部分ももちろんですが、苦しさ・悔しさ・やるせなさ、みたいな現実的で泥臭い部分もしっかり描かれていて、だからこそ登場人物たちに共感し、胸を打たれる傑作になっているんだと思います。

BLUE GIANTの主人公はサックス奏者の宮沢大ですが、BLUE GIANTという作品は実のところ大の物語というよりも「大と出会うことで大の周りの人々がどう変わっていくか」に主軸があるような気がしています。
この映画でメインでスポットが当たるのは、ピアニストの沢辺とドラムの玉田。
この2人の気持ちがもう本当に痛いほどよく分かって、至るところで涙してしまいました。

まず、ピアニストの沢辺雪祈ゆきのり
わたしも小学校低学年から高校までの間ずっとピアノを続けていて、先生に音大を目指すよう説得されたくらい、けっこうピアノは得意でした(今はもう全然ですが…!)
なので、当時はピアノに関してはわりとプライドを持っていたし、雪祈と同じように同世代の奏者のことは内心ちょっと見下すような気持ちもぶっちゃけありました。

でも、どれだけ練習してどれだけ技術が身についても(だからこそ、かも)どうしても超えられない表現の壁みたいなのってあるんですよね…!譜面通りに弾けてるんだけど本当の意味では弾けてない、みたいな…。だから中盤の雪祈の苦しみはすごくすごく共感しました。

そして、ピアノに限らずどの楽器もだと思いますが、1日練習をサボっただけでも指って怠けるものなんですよね。だからこそ毎日継続してコツコツ練習して積み重ねて。上達したときは嬉しいけど、全然うまくいかないことも多くて。日々の練習は、楽しさもあるけど苦しいことも多い孤独な時間でした。
その大変さを身をもって分かっている雪祈だからこそ、大の演奏を初めて聞いたあとのあの一言なんだな、と思います。個人的に一番最初に涙が出た台詞。
そして、これまで幼いころから長年ずっとずっと努力を積み重ねてきた雪祈を思うと、もう最後のライブシーンは号泣せざるを得ませんでした… 。

そして、もう1人の玉田俊二
大に感化されてドラムを始める玉田は、雪祈とは反対で"初心者"という立ち位置です。
わたしは高校でオーケストラ部に入部して、そこで初めてクラリネットを始めました。ピアノは長年の経験があったもののクラリネットに関しては全くの素人だったので、玉田の「周りと比べて自分が劣っている苦しさ」「演奏についていけない焦り」みたいな心境は、当時の自分をすごくすごく思い出してウワァァァわかる😭!!!となりました。
わたしは結局、クラリネットに関してはたいした上達もなく何となく3年間続けたという感じで終わってしまいましたが、玉田はきちんと現実と真正面から向き合いながらひたむきに努力していて。自分の実力不足に泣くほど悔しい思いをして、それでも頑張りたいと努力し続けられる玉田は本当にすごいです。わたしはこれまで幾度となくそういうところから逃げてしまったなあと思う。
最初はバカにしてた雪祈がお母さんに電話してドラムのレッスンについて聞く場面でホロリとなり、そしてあの"玉田推しおじ"の一言により完全に涙腺が崩壊…。

"唐突に訪れた青春の終わり" に対する想いや言動も各々で違っていて、それぞれの性格や音楽に対するスタンスが現れていてグッと来た。

わたしはたまたま10代の間に楽器をやっていたため音楽目線での感想ですが、たぶんこれらって今まで何かしらで絶対に誰もが経験したことがある普遍的な感情で、どこかしら登場人物の誰かに共感できる部分が必ずあると思います。スポーツでも芸術でも勉強でも人間関係でも、何でも。

青春時代の輝きと苦しさが目一杯詰まっているこの作品は、青春映画として大傑作だと思います。

音楽映画としてのBLUE GIANT

この映画はライブシーンの尺がとても長いです。
そしてその演奏・曲が本当に素晴らしい…!!!!ちなみに劇中のJASSの曲たちは雪祈の演奏担当であるピアニストの上原ひろみさんによる作曲です。
音の迫力がすごくて、だからこそ音響の良い映画館で観ることでこそ真価を発揮する作品だと思います。
さらに、演奏時の映像表現も音楽の魅力をさらに引き立てるものでした。音を可視化したような様々な表現や、音に合わせて作画のタッチが変わるなど、これは実写では絶対にできないもので、アニメーション作品で映画化した意味が存分に発揮されているなあと…!
ストーリーももちろん良かったのですが、あれらの演奏なしではここまでの感動はなかったと思います。
ライブシーンのあとは、思わず劇中の観客と一緒にスタンディングオベーションしそうになるほど。(ぜひ声出しOKの応援上映みたいなのやってほしいな…!)

鑑賞後は映画を観た、というより「もの凄いライブを観てきた」という感覚のほうが近かったかも。そのくらい圧倒されました。

唯一の惜しい点

わたしは全く気にならなかったですが、仙台出身の夫としては、「仙台の方言がおかしい」というところがどうしても引っかかって心から楽しむことはできなかったとのこと。
確かに、大はめちゃくちゃ「〜だべ」って言うんですが、仙台ってほぼ標準語なんですよね。わずかにある方言も「だべ」とは言わなくて…。
とはいえわたしは他県の身なので「まぁフィクションだし…そんなことより作品として良すぎるからよくない??」としか思ってなかったんですが、よくよく考えると確かにわたしも"関西弁の使い方やイントネーションが違う!"と思った作品は観る気を失うので、夫もそういう気持ちなのかな〜と思ってちょっと納得しました。
ただ、大の口調は原作からずっとこうなので、映画で急に口調を変えることはできなかっただろうし仕方ないんだろうと思います。

ちなみによく言われてる「CGのクオリティがちょっと…」については、わたしは特に気にならなかったです。ソロの部分など"魅せる"場面は手描き作画だったのでメリハリあったし、先述の通りとにかく曲と演奏がめちゃくちゃに良かったので、プラマイプラスプラスプラス!という感じでした。

おわりに

個人的にはおそらく今年ベストになる映画に早くも出会ってしまったなと思っています。本当に良かった…!!他にも観たい新作映画あるのですが、映画館へ行くとどうしてもBLUE GIANT観たくなってしまって、たぶん近いうちに3回目を観に行くと思います。
本当に素晴らしい作品なので、もっともっと多くの人に届いてほしいと思う。
誰か1人でもこのnoteをきっかけにBLUE GIANTを観に行こうと思った方がいたら、それは本当に嬉しいことです…!

最後に余談ですが、BLUE GIANTをきっかけにジャズいいな!と思った方へ、同じくジャズを題材としたアニメ作品『坂道のアポロン』がとっってもおすすめですのでぜひに!!!
ちなみにBLUE GIANTで玉田の演奏を担当していたドラマーの石若駿さんが、この作品でもドラムの演奏をされています。


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