見出し画像

レジデンスは続く、イタリアに思いを馳せて

疲れ果てて帰ると、何にも作る気にならない。仕事を終えてから、毎日ごはんを作っていた母は偉大だなぁ、と思い知る。私には無理だ。一人分だけ作るというのも、案外難しい。やめよ。データのバックアップだけやっと取って、よしっと立ち上がる。

フラフラと街に出て、イタリアの田舎にありそうな、イタリアンレストランに入る。とても庶民的な風情があるこの店は、先週くらいにも私は訪れた。ここ結構美味しいですよ、とライターさんに連れてきてもらって、私は気に入って、本日二度目のご来店。

お一人様はカウンターに通される。厨房の風景が目の前に見えるこの席。友人は、厨房の見えるレストランが好きと言っていて、私もそれから厨房をよく見るようになった。これは店の、デモンストレーションでもあって、客の楽しみの一つだと思う。料理長兼オーナーが調理し、見習い外国人がカタコトの日本語でオーダーを取る。席一つ空けて私の横には、太っちょの中年男性がいた。スーパーのスポーツ用品店にあるようなTシャツ、短パン、サンダルを履いた彼は、水のお代わりを貰って、次の料理を待っていた。料理長と見習いは仲が良くて、見習いの手際の悪さを料理長が小突いて、それを見た中年男性がハハッと笑って、3人とも笑っていた。とても良い映画のシーンのようだった。本当にここは、イタリアのレストランかもしれない。

コーラと蒸し鶏のサラダ、ジェノベーゼをものの20分くらいで一気に平らげて、江戸っ子の血を改めて感じた。食べたらさっさと出る。ここが例え本当にイタリーであっても、せいぜい30分くらいだろう。

帰ったらまた作業をしよう。その前に、昼間汗だくになった身体を熱いシャワーで洗い流したい。それから、明日の準備をして、作業して、寝よう。まるで写真留学中のような私のライフスタイル、子供の頃憧れていた気もする。でも、今はこれが私の全て。憧れの中は、力技の連続だった。

私のレジデンスは、まだまだ続く。イタリアのレッジョエミリア、行ってみたい。ルイジギッリの故郷だから。イタリア、何年か前からブームです。この写真が、それっぽい感じがした。イタリーっぽい。

よろしければサポートをお願い致します。マガジン「一服」の資金に充てます。