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結局、牛乳は身体に良いのか、悪いのか。①


こんにちは!

管理栄養士の板西まいこです。

今回は、「牛乳」についてまとめていきます。

何事も「良いか、悪いか」と単純に言い切ることはできないため、煮え切らない回答かもしれませんが、

結論から申しますと、「栄養摂取のために常飲する必要は感じられず、生乳の質や加工方法を選んだ上で嗜好品として楽しむ範囲が妥当」です。

これは私個人として導き出した結論ですので、これから示すデータや情報を一つの指標とし、自身の体質を踏まえて判断されると良いかと思います。


牛乳に対して感じていたこと

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栄養教諭をしていた時に、度々牛乳の存在について考えることがありました。

和食を中心に献立を立てても絶対に満たすことのできないカルシウムの基準値。

日本人のための栄養摂取基準なのになぁ~と矛盾を感じながらも、お決まりのように牛乳を献立に入れていました…


私は子どもの頃は牛乳アレルギーで除去してましたし、大人になっても給食の牛乳はほとんど飲んでいませんでした。(今だから言えるが笑)

子どもたちにも厳しく言いませんでしたし、矛盾を感じている以上、牛乳の授業をする気にはなれず、別の食育を考えていました。

食育は教科書も学習指導要領にきちんとした定めもないので、その辺りは柔軟性があります。

中には、抗生物質を投与されている牛乳は飲まないという先生がおり、それはそれで個人の判断だなぁと感じました。

(詳しくは後半で)


日本人と牛乳の歴史

現代では給食にもほぼ必ず登場し、日本人が幼少期から慣れ親しんでいる牛乳。

日本人が一般的に牛乳を飲むようになったのは、明治以降(1868~)です。

戦後、1949年にユニセフから脱脂粉乳の寄贈を受け、ミルク給食が始まりました。

実はこの時代、脱脂乳はバターを採ったあとに残る液体で、アメリカでは馬のエサとして活用されていました。

液体のままだと日持ちしないので、粉乳にして輸出したわけです。(何事も時代背景があり、食料難の中助けられた側面もあるでしょう)

その後、1957年より国の補助で脱脂粉乳から牛乳へと徐々にシフトされ、1960年代以降学校給食でパンと牛乳が定着しました。


こんな感じで、正直、日本人と牛乳の歴史はかなり浅いです。

これがひとつのポイント。
「何を食べるかはDNAに聞け」の記事でも触れていますが、人種が違えば代謝できる食べ物も違うのです。


日本人の75%は乳糖不耐症といわれており、お腹が緩くなる方が今日でも多くいます。

アメリカの医師も牛乳の摂取による消化器症状などを研究した結果、このようなことを述べています。

日本の人口の85%の人が牛乳を飲んではいけない体質だ。(米国医学博士 ドランク・オスキー)


対して古くから牛乳が飲まれてきたアメリカでは、牛乳は1ガロン(=4リットル)という単位で売られているほど大量に摂取されていますが、ほとんどのアメリカ人が消化器症状などを起こしません。

つまり、日本人は特に牛乳を上手く消化吸収できる機能を持っていないのです。

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しかし、そんなアメリカでも牛乳の消費量は低下の一途を辿っています。

余った牛乳はどこへ売るのでしょうか…


何がそんなに消化、吸収しにくいのか?


牛乳にはタンパク質とカルシウムが豊富に含まれています。これは事実なのですが、それが消化や吸収できるかが重要です。

①消化できないタンパク質「カゼイン」

牛のお乳である牛乳に含まれるたんぱく質は主に「αカゼイン」というものですが、人間はその分解酵素を持っていません。(持っていると主張している団体もあり)

「カゼイン」自体は人の母乳にも含まれていますが、人の母乳に含まれているのはほとんどが「βカゼイン」です。カルシウムや亜鉛などのミネラルの吸収を手伝ってくれています。


では、消化できなかったタンパク質はどうなるかというと、未消化となり腐敗し、腸の中を汚してしまいます。

本来、カゼインは腸の上皮細胞を通ることが出来ない大きい分子なのですが、炎症や腸内細菌のバランスで腸の状態が悪いと(いわゆるリーキーガット症候群など)脳に到達し影響を及ぼすこともリスクの一つです。

過去の私のように、即時型アレルギーですぐにじんましんや下痢などの症状が発現する場合は避けやすいのですが、遅延型アレルギーの原因にもなり得ます。

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なんとなく調子が悪い状態が続いている場合、牛乳が一つの原因となっているかもしれません。

☆遅延型アレルギーの検査を受けたい、結果のフィードバックや今後の食について相談したい方はトップページのリンクよりお問い合わせください。


②吸収できないカルシウム

牛乳には確かにカルシウムが豊富に含まれており、「子どもの成長や骨量の確保に必要」というイメージが強くありますよね。

しかし牛乳のカルシウムは前述したα型カゼインと結合しているため、人間は吸収しにくいのです。

また、吸収できず腐って未消化物となったタンパク質(酸性)を肝臓で無毒化させる際に、酸性に傾いた血液をアルカリ性に戻すため、カルシウムが利用されます…

カルシウムを骨から溶かし出して尿素に変換し、尿で体外に排泄するのです。

なんという本末転倒。

しかし、これがどの程度影響するかの指標を示したエビデンスはないため、気にするほどのことかどうかは、何とも言えません。


長くなりましたので前半はここまで。

後半では、牛乳の製法の違いや、選び方について紹介していきます!

それでは!

後半はこちら
https://note.com/manocom/n/na9cea5a2a4dc





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