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結局、牛乳は身体に良いのか、悪いのか。②


こんにちは!

管理栄養士の板西まいこです。


今回は牛乳のお話後編。

前編をまだ読んでいない方はこちら


さて、今回は乳牛の飼育環境や牛乳の加工処理から、牛乳の選び方について詳しくお伝えします!


乳牛の飼育環境

現在日本で行なわれている主流な牛の飼育方法は2つ

1.ストールバーン(繋ぎ飼い式牛舎)

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牛は常に繋がれ、自由に動くことができません。

十分に体勢を変えることもできず、長時間同じ姿勢で座っているため足の一部が人間でいう床擦れ(褥瘡)のようになり、壊死している子もいるようです。

また、動けないため糞尿はその場で垂れ流し、自らの排泄物にまみれて過ごしています(もちろん、掃除されるタイミングはありますが)

日本の約7割がこの飼育方法を採用しています。

敷地面積に対して多くの牛を飼育することが出来、個体管理もしやすく生産効率が高いからですね。

売られてから、繰り返し妊娠させ続けられ(乳牛も人間の母乳と同じように、子牛を産んで初めて乳を出します。)、搾乳され続ける。

生涯の大半をこの場所で過ごし、次に自由の身になる時は屠殺される時…なんて牛も多くいるようです。


2.フリーストールバーン(放し飼い式牛舎)

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・フリーストール

牛のベッドが一頭ごとに仕切られているが、牛はある程度自由に動くことが可能です。

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・フリーバーン

フリーストールよりもさらに自由なのがこちら。自由に動き、好きなところで寝ることが出来ます。


また、日本ではまだ非常に少ないですが、牛舎ではなく、放牧という方法もあります。

ニュージーランドやオーストラリアで盛んになりつつあるようです。

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ヨーロッパでは繋ぎ飼いに関する規制が進んでおり、州や地域によっては資金提供も行われ、フリーストールバーンや放牧へと移行する動きが出ています。

一方、日本は乳牛の繋ぎ飼いに関しての規制が全くありません


牛さんは何を食べているの?

本来牛は草を食べて生きる動物ですが、

牧草などの「粗飼料」と、トウモロコシなどの「濃厚飼料」を使い分けているようです。

「非遺伝子組み換え」や「non-GMO」などの表記が特にない場合はほぼ100%遺伝子組み換えのものを食べていると考えてください(特に穀類)


また、日常的にホルモン剤や抗生物質が投与されているのでは?と思っている方もいると思いますが、日本国内では肥育ホルモンの使用は認められていません。

抗生物質を投与することは可能ですが、あくまでも治療としてのようです。

(しかし、GMO同様、国内生産では禁止されていても輸入販売は許可しています!!外国産の食肉などを購入するときは投与されている可能性を知っておいてください!!)

自然放牧されている牛たちは基本的に毎日草を食べているので遺伝子組み換え飼料の心配は少ないですね。比較的ストレスフリーに過ごしている点もメリットです。

日本では少ないですが、「グラスフェッド」などと記載されています。


牛乳の成分について

牛乳の組成は以下の通りです。

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本来は絞ったまま、成分を調整していないもののみが「牛乳」という称号を与えられていたのですが、2003年以降の乳等省令の改正により「成分無調整牛乳」が新設されました。

現在の分類はこのようになっています

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乳等省令における規定(抜粋) より


つまり、成分を調整していないもの=「生乳」という表記です。

なのですが!!

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成分調整牛乳=生乳100%で成分を調整とありますが、つまり脂肪分やミネラル分を抜いたりするわけです。

2 この省令において「生乳」とは、搾取したままの牛の乳をいう。

(もはや生乳100%の定義とは…)

成分調整牛乳のほうが安いですが、これは取り除いた乳脂肪でバターやチーズなどの加工品を生産して販売できるからです。


牛乳の殺菌方法による違い

牛乳の殺菌方法は以下の通りです。

牛乳を販売するうえで、殺菌は私たちが安心して飲むために必要な過程です。

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高温だと短時間で殺菌できて生産効率が良いため大量生産に向いています。大きなメリットですよね。

そのため、日本で一般的に販売されているほとんどの牛乳は超高温瞬間殺菌のものです。


では、高温殺菌におけるデメリットとはなんなのか。


高温で加熱殺菌することによって、有害菌はもとより有用菌まで死滅させてしまいます。さらに、たんぱく質が高温によって変性(熱凝固)を起こすため、消化に影響があります。


また、酵素の利用等についての研究者によって、このような結果が発表されています。

殺菌牛乳で仔牛を育ててみれば一目瞭然です。殺菌牛乳というのは、病原菌を死滅させるのに十分な高温で殺菌処理された牛乳で、高温のせいで酵素はすべて破壊されています。この殺菌牛乳で育てると、なんと仔牛は半年以内に死んでしまうのです。(ノーマン・ウォーカー)


では、低温殺菌のものを買いたい場合、「パスチャライズド」と表示されたものを選ぶと良いです。

しかし、前述したように生産効率においては低下するため、販売価格は少し上昇します。

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ただ、「安い」「高い」の二極的に見るのではなく、なぜ「安い」のか、なぜ「高い」のかが分かると、自らの意思で本来の選択ができますね。 


ノンホモジナイズドとは

「ノンホモ」などと、略されて耳にすることも多い「ノンホモジナイズド」とは、どのようなものなのでしょうか。

「Non-Homogenized Milk」ですから、ホモジナイズしていない牛乳を指します。

「ホモジナイズ」とは

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ホモジナイズは、牛乳(生乳に含まれている脂肪球)に圧力をかけて、乳中の脂肪球を砕いて小さく均質化することです。これは、均一に短時間で超高温殺菌する工程で必要であると共に、超高温殺菌中に配管の中で乳脂肪が固まらないようにするための過程です。—東毛酪農業協同組合HPより

高温処理によるたんぱく質の変性も少なく、自然と不意均一な脂肪球だと胃でゆっくりと消化され腸へと移動しますが、たんぱく質の変性とこの処理によって胃の滞留時間が短くなり、早く腸に到達してしまいます。

これが、おなかが緩くなる、腸が疲れるといった状態や、アレルギーが起こりやすい要因にも繋がっているのではないでしょうか。


まとめ


この記事、非常に長くなってしまいましたがまとめます!

牛乳を選ぶポイント

1.牛の飼育環境…フリーストールバーンや放牧など、ストレスフリーで健やかに過ごしているのものがおすすめ

2.牛の餌…草を中心に、遺伝子組み換え飼料を使用していないものがおすすめ。「グラスフェッド」「non-GMO」など

3.殺菌方法…低温殺菌の「パスチャライズド」と表記されているものがおすすめ

4.ホモジナイズ処理…処理されていない、「ノンホモジナイズド」がおすすめ


そして、日本人はそもそも牛乳が合わない体質の方も多いので、もしかしたら牛乳が原因かも…と思った方は一度辞めてみることもおすすめです!

否定ではなく、自らを知るためにです。

自分の身体の変化と向き合ってみて、自分のことをよく知ってください。


それでは!

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