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#SF
小説(SS) 「ドローンの課長」@毎週ショートショートnote #ドローンの課長
お題// ドローンの課長
課長はいつも、ハエのように飛び回っている。
小うるさいプロペラ音を響かせ、この大型倉庫で入庫作業をしているわたしたちの頭上を一日に何度も通過するのである。
こちらの仕事ぶりを監視するために、遠隔地からドローンを操作しているらしいのだが、わたしたちにとっては邪魔以外のなにものでもない。
どうせ課長はドローンの向こうで寝っ転がったりお菓子をぽりぽり食べているの
小説(SS) 「秘密の教室」@毎週ショートショートnote #理科室まがった
お題// 理科室まがった
理科室をまがったところに、使われていない教室があった。鍵のかかった引き戸の内側には高くまでダンボールが積まれており、廊下側から中の様子を覗くことはできない。ぼくはいつも、その横を通る度に胸のざわつきを感じていた。理由はわからないが、なんとなく異様な雰囲気があるように思えた。
だからぼくは休日、学校に忘れ物をとりにいったついでに忍び込むことを決めた。
この日のため
小説(SS) 「デブリ帯ドライブ」@毎週ショートショートnote #だんだん高くなるドライブ
お題// だんだん高くなるドライブ
商社に勤めるアイナ・リスボンは、火星周縁部にある採掘資源衛星N16に視察で訪れるべく、その玄関口のシャトル発着所にきていた。
「すまないがね、お嬢ちゃん。そのチケットじゃ、乗せてやるわけにはいかねぇんだ」
「なんでですか、会社から事前に発行されたもので照合はとれているはずです」
「そいつぁ、一ヶ月以上も前のレートのものだろ? ここ最近はな、毎日のように
小説(SS) 「あやしいタイムスリップコップ」@毎週ショートショートnote
お題// タイムスリップコップ
「ほう、このコップをシェイクするだけでいいのか」
「ああ。だが途中で止めたら、カウントはそこまでだ」
繁華街のある駅の高架下を歩いていたら、路上に机と椅子を出している露天商に呼び止められた。
いつもなら無視して通り過ぎるとこだが、妙に小綺麗な印象のある、サテン地のブルーシャツを着たガンジー似のおじいさんだったからか、促されるまま椅子に座ってしまった。