わたしはフォークを使って大阪にかぶりつきたい

Twitter ≫ @killl_sour

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最近の記事

宇治拾遺物語にロングコートダディを感じる

古典、と聞いてどうかむつかしい顔をしないでほしい。 とてもとても楽しい話を見つけたのである。 『宇治拾遺物語』の巻3-2 「藤大納言忠家、物言ふ女の放屁のこと」というオハナシだ。 原文は以下のとおり。 --------- 今は昔、藤大納言忠家といひける人、 いまだ殿上人におはしける時、 びゞしき色ごのみなりける女房と物言ひて、 夜ふくる程に、月は昼よりもあかりかるけるに、 たへかねて御すをうちかづきて、なげしの上にのぼりて、 肩をかきて引きよせけるほどに、髪をふりか

    • マイ・パンティ マイ・チョイス

      突然ですが、どんなパンツを履いていますか? なかなかデリケートな、話題である。 もっとも、中学や高校のころは友達のパンツの柄を知り尽くしていた。 わたしが通っていたのは制服のダサい女子校で、校則もきびしくメイクもだめ、好きに飾り立てることができるのは下着しかなかったわけである。 かわいい下着の日は、嬉しかった。 ジャンパースカートの横のファスナーをじりりと下して、 「これっ、これっ。新しく買ってんよ。おそろいやねん。どーお?」 なんて、見せあいっこするのが日常茶飯事だっ

      • 相合橋で待ってる

        街を歩いていて私が 「あ、ここおいしそ」 と思うお店には、共通点がある。 それは、どこか“恥ずかしがりン”なたたずまいのあるお店である。 お店の規模は、できれば小さなほうがいい。 お店の立地は、大通りに面したトコよりも路地裏がいい。 のれんの向こうのドアは半開きで、入ってほしいんか入ってほしないんかどっちなんか、というお店が、すき。 外からのぞき見るようにして店内に目をこらすと、店主と目が合う。 合ったかと思いきや「どうぞいらっしゃい」と声を張り上げるでもなく、急いで

        • しなやかに払って

          JANコードのついた本を、じつに久しぶりに買った。 わたし、本はよく読むけど、そのほとんどを図書館で済ませている。 大阪は図書館がすくないが、借りている人もすくないようで、じきに順番が回ってくる。 (これは本を読む人が減っている、ということだから嬉しい反面、さみしさもあるけれど) そうしてただで好きな本を読みたいときに読むことが出来るけど、どうしても傍に置いておきたくなる本というものがたまにある。 今回買ったのも、そう。 好きな女性作家のエッセイで、本というよりは

          わたしは浪花のパリジェンヌ~よう分からん調味料を捨てよ、町のごはん屋へ出よう~

          外で食べるごはんが楽しくてしょうがない、と思い始めたのはいつ頃からかと考えると、やはり東京から大阪に引っ越してきてからだと思う。 東京にもおいしいお店はあるが、東京の食の美味さが粋さ・作法・知識などから成り立っているものだとしたら、大阪の店はただうまさだけがあるという感じ。 敷居が低くて、庶民的なのだ。 おしゃれじゃなくても、高いお金を出さなくても、おいしいものが食べられる。 いや、むしろそういう所こそが旨い。 庶民的なお店には、庶民が試行錯誤してきた歴史を感じる。 肩肘

          わたしは浪花のパリジェンヌ~よう分からん調味料を捨てよ、町のごはん屋へ出よう~

          コントは終わった

          先日、法善寺の『夫婦善哉』のお店を見たら元夫を思い出したので、元夫について書く。 わたしの元夫は東京NSC卒でお笑い芸人をしていた。 (戸籍上ではまだ夫婦なのだが、アッチは東京に住んでいて私は大阪、と別棲みだし、1日2回の「おはよう」「おやすみ」の生存確認のLINE以外は連絡もしないから、元夫と言ってしまう。) 約2年の結婚生活を思い出すと、あれは「結婚」という名の長編コントだったのではないかと思ってしまう。 わたしは彼といたとき、関西弁なんて喋ってなかった。 彼だって、

          猫と法善寺と2人のをんな

          道頓堀の劇場へ落語を見に行ったあと、人ひとりがやっと通れるくらいの小路を抜けて、大通りから法善寺横丁の水掛け不動へとたどり着いた。いた。まだいた! 塀の上で白に黒ブチもようの猫がやすんでいた。 ライブが始まる前、まだ日が沈みきっていない時間にここを通ったときにも、こいつはいた。そのときは、爺さんの横で静かに座っていたのだが。 「ツッツッ」と舌を鳴らすと、こちらを見下ろした。 険のない、スンとした目つきが愛らしい。 すっかり夜が更けてしまったのに、ぱっちりと目が開いていて元気

          とんこつスープ・ストック&トゥー・ビスケット・ピーシーズ

          ビスケットブラザーズのファンになってから、1ヶ月が経とうとしています。 きっかけは5月の「濁」ライブでした。 もともとはガオ~ちゃんを楽しみにしていたのですが、ガオ~ちゃんは休演で、しゅんとしていたところ、その日のビスケットブラザーズのネタが最高で… っていうかそもそもビスブラさんのネタを見たの、この日が初めてだったんです。 初めて見て、ひと目で好きになりました。 その日は“キスされて怖かった”のネタでした。 私はこのコントでビスブラのお2人が何らかで優勝すると固く信じて

          とんこつスープ・ストック&トゥー・ビスケット・ピーシーズ

          ホルモンのゆうべ

          地下鉄・駒川中野駅から近鉄・針中野駅をつなぐようにできている駒川商店街のちょうど真ん中あたりにそのお店はある。 ここはもともとホルモン量り売りの精肉屋さんだが、お惣菜としてホルモン炒めも売り出している。 店頭の大きな鉄板の上で大将が二つのへらを使って器用にホルモンを炒めている光景に惹かれて注文をすると、だいたい申し訳なさそうな気のいい笑顔で「すみません、まだ焼き始めたばかりで、出来上がるまで三十分ほどかかるんです」と言われる。30分かぁ、と思う。 鉄板の上のホルモンはすでに