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車椅子で役者をやるもの。(seen14 希望と喜望)

2回のワークショップの参加は完全に俺にエンジンをかけた。

「やりたい」

そんな事を考えてた矢先、知人から地域活性化事業の初心者向けワークの講師をやらないかとのお誘いがきた。始めは福祉についての講師依頼だったが、それでは面白くない。俺はその福祉のセミナーに芝居の要素を入れた体験型のセミナーをしたいと依頼主に伝えた。相変わらずの勢いだけだ。そしてそれが通った。以前受けたワークの講師に連絡を取り教えてもらった内容を使ってよいかの確認。それから自分でインプロ(即興劇)の色々なパターンを勉強した。人に教えたり伝えるのはどちらかと言えば得意な方と自負していた。

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全て福祉を絡めての即興劇ワークを開催した。車椅子を使ってのシーン作りから聴覚、視覚などの五感を使えるからこそ難しい事もあるなどの逆説的なエチュード。恐らく自分にしか出来ないワーク。障害を持ってしまったからこそ、やれる。これはきっとまだだれもやってないんじゃないか?

これなら。そうだ。これからやってみよう。

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合計3回に渡ったこのワークは自分自身もビックリするくらい楽しめた。自分の身体的なデメリットをメリットに使える。歩みは遅いが芝居の感触が着実に戻ってきた感。形は変わろうとも俺だからやれる事が、俺だからやれるワークショップ。

またやりたい。けど、どうしたら?依頼などそんなに来るのか?しかしこのワークには自身があった。兎に角、会う人会う人、それにラジオでも今回のワークの事、自己の宣伝に言いまくった。

俺は「言霊」と言うものを信じている。良いものも悪いものも「口に出す」事は形になり力になると信じている。

そして、それはやはりやってきた。しかし、難易度は数段高くなった。いわゆる「知的障害」と言われる方対象。それも支援員入れて40名。重度の身体障害の複合障害のある方もいるという。そうだ。今度は「障害者の俺が」ではない。同じ障害のある方へ演劇の楽しさを知ってもらう為の同じ障害がある講師としてだった。

こちらのいう事もなかなか通じない方から多動の方、意思表示すら困難な方が対象だった。

俺は講師として呼ばれた。同じ障害のある講師。ましてや福祉同業者からの依頼。前回とは比べものにならないプレッシャー。失敗出来ないプレッシャー。楽しんでもらえるのか?ちゃんと出来るのか?芝居を教えれるのか?それより、「圓井さんに頼んだんだから」のプレッシャー。

しかし、始まってすぐ、そんな考えは吹き飛んだ。いや、吹き飛んだというよりはまるで「戦場」と化した。

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「笑いの戦場」。

みんながそれぞれの楽しみ方で楽しんでる。人の言う事聞いてるのか聞いてないのか分からないとこも沢山あったがみんな誰一人逃げ出さないで遊んでくれた。演劇という遊びを楽しんでくれた。めちゃくちゃ楽しかった。ほんとに楽しかった。やる前に何カッコつけて考えてたんだろう。何をやろうとしてたんだろう俺は。

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「演劇はどんな状態だって楽しめるんだよ。」

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改めて彼らに教えてもらった。

車椅子の役者、演出家として活動していく事で観る側だけでなく演る側のバリアも崩していきたい。活動にご支援の程宜しくお願い致します‼️