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生殖をめぐる男女の差 #とは

いつものようにはてなブックマークを見ていたら、私が常々思っていることに通じる記事が上がっていた。

乱暴に要約すると、男女同権を求めるフェミニストでありながら、男性からお姫様扱いをされることを喜んでいる人も多い、それはなぜか、という話だった。

理由は妊娠出産に集約される。

女性は妊娠出産において大きなコストを費やす。そしてその間女性は、お金を稼いだり重い肉体作業をしたりといったことが難しい。そういった生殖機能的な違いから、女性は自然と“お姫様扱い”を受け入れるのではないか、というのが結論のようだ。
(ちなみに、この妊娠出産に対する男女のコストの差を、「親の投資理論」と言うらしい。)

ここには書かれてないけど、生殖と綿密に関係する女性ホルモンの作用で、男性へのなんらかの本能的な反応や要求が起きるのはごく自然なことなのかもしれないとも思う。

だけど、これだけだと女性に都合のいいダブルスタンダードに見えかねないので、もうちょっと自分なりに整理してみる。

まず、社会とプライベートを分けて考える

職場や社会においては、男女は平等に機会が与えられ、同じように扱われるべきだと思う。だけど私的な男女関係なら、お互いの合意のもとで好きにしたらいい。
男女平等でも、男尊女卑でも女尊男卑でも、2人の間で合意してたら何でもOK。共働きでも、片方が主婦や主夫でも。

第一ステップとして、社会における男女と、私的な関係における男女のあり方は別だと考えると一番わかりやすいんじゃないか。

子供を望む場合に合理的な役割分担

だけど子供を持つことを望む場合は、やはり合理的な役割分担というのはあるのだと思う。つまり、女性が妊娠出産に挑んでいる間、男性はそれ以外のこと、たとえばお金を稼いだり重い肉体労働などをフォローする。
合理的というか、必然的にそうなりそうな気もする。
しかしあくまで合理的というだけであって、どんな役割分担にするかは、そのパートナー間で好きに決めたらいいのだと思う。

問題は無自覚かつ無分別であること

問題は、公の場と私的な場を分けずに、私たち女性が“男女平等”と“お姫様扱い”をその時々で都合よく主張することだと思う。しかも、その無分別に無自覚だったりする。
男性に男性らしさを求めていいのは、私的な関係で合意がある場合のみと明確にしておけばいいんじゃないか。

じゃあ産休は?

職場や社会においては男女同じく扱うべきというのが前提だけど、それでも女性社員が妊娠出産に挑む場合は、どうしても会社側のフォローが必要になってくる。育児休暇は今後男性も取るようになるのだろうけど、産休はどうしても女性限定になる。

ここはとても難しい問題だと思う。
確かにフォローは必要だけど、そのために男性社員や他の女性社員に無条件に負担を押し付けるのは軋轢を生むし、納得いかなくても当然だと思う。

なぜなら出産は、女性にとって負担であるとともに、それに憧れる人にとってはまぶしい幸福であるからである。

なぜ幸福な人のフォローを私たちに押し付けられなくてはならないのか。そう感じる人がいても否定することはできない。

ここはもう少し、フォローした周囲へのリターンが考慮されるべきだと思う。

得意なことや感謝を返す

生殖において女は弱者だ、だから無条件でフォローしろ、という考えもあるのかもしれないけど、そこは同じ人間同士、円滑に関係を保つためには、フォローしてもらった分、自分の得意な分野で返すとか、それが難しい場合はちゃんと感謝の意を伝えるとか、そういうのも大事じゃないかなと月並みなことも思う。

克服できるのは、人類が交配による生殖から脱したときのみ

ということで、この男女の差を完璧に克服できるのは、生殖医療が発達し、交配以外の方法で繁殖できるようになったりとか、子宮で育てる必要がなくなったときかなと思う。しかしそれが望ましい未来像なのかはわからない。

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ということで、はてなブックマークの文字数では誤解を招きそうなので、ここに自分の考えを詳しく書いてみた。

そういえば、連載中の小説の第5回の後半にも、「女性限定スイーツ」にまつわる男女の矛盾的なことを書いた。(で、この小説自体、不妊という生殖がテーマだったりする。)良かったら読んでみてね。

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