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エッセイ

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#PS2021

【インタビュー】 生きとし逝けるもの

【インタビュー】 生きとし逝けるもの

お盆なので、身近な死者である親類にインタビューしてみた。脳みそをひっくり返し、記憶を総動員してのインタビューである。

小学生のころ、戦時中のことについて、祖父母にインタビューする宿題があった。そのとき祖父に、一番つらかった体験は何か聞いた。
「学童疎開で行った田舎でのことよ。はじめ、出されたごはんが多いけぇ、食べきれんほどじゃった。でも真心のごはんじゃけん、残すわけにもいかんでぇなぁ…食べるんが

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秘密基地のすゝめ

秘密基地のすゝめ

わたしの秘密基地は台湾文学館だ

街の中心部にありながら閑静な場所

地下図書室で待つ禁帯出本らに会いに行く

わたしにとっての台湾文学館を3行でまとめてみた。せっかくなので、わたしが気に入っているこの秘密基地について、少し紹介してみることにする。

台湾文学館の正式名称は、國立台灣文學館(国立台湾文学館)という。

この台湾文学館の建物は国定古跡にも指定されており、歴史的価値も非常に高い。日本時

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アポロと霜淇淋

アポロと霜淇淋

旅行好きの祖母を台湾・台南に招待したのは2018年4月のことだった。

岡山市内、交通の便が良い街中に住む祖母は、喜寿を過ぎてなおフットワーク軽く、旅行会社のパッケージツアーにしょっちゅう参加していた。

それも、気の向くまま、国内外問わず。

彼女の夫であり旅行の良きパートナーでもあった祖父は、還暦で教職を退職後、悪性腫瘍により逝去している。

私が祖母との台南旅行を計画した背景には三つの要因が

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はたらく相棒

はたらく相棒

「ㄟ、是不是今天有東西出貨?訂飛機嗎?」(あれ、今日って出荷するものあったよね?飛行機予約した?)

「啊!・・・怎麼辦!?」(あっ!・・・どうしよっ!?)

相棒のうろたえた叫びを聞き、逆に冷静になり、トラブルシューティングモードに切り替わるわたし。

ここは、台湾の南部にある地方都市、台南のスクリュー工場。
海外営業部のわたしたち二人は、今朝もまた、新たな困難に立ち向かっていた。
相棒とわたし

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