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一杯のコーヒーから。

私の勤め先はとあるカフェだ。

幼い頃から憧れていたバリスタになったのだ。


初めてドリンクを作ったとき、緊張して手が震えた。

と、同時に「ああー、ついにここに立てたんだな」と感慨深かった。



私はコーヒーが物心ついたときから好きだった。

はじめは、大人のマネをして、ちょっぴり背伸びをして飲んでみた。もちろん、ミルクと砂糖をたくさん入れて。

美味しかった。大人が飲むコーヒーってこんな感じなんだ、と少し自分も大人になれた気がした。


好きなのはコーヒーだけではない。カフェそのものも好きだ。カフェにいると落ち着く。ついつい長居してしまう。そして何よりも店員さんが輝いて見える。


私が今働いているのは誰もが知っている、業界トップのあのカフェだ。

それまで、他のカフェの面接を受けて、落ち続けてきた。だから今回もダメ元だった。


しかし、奇跡的なことに「一緒に働いて欲しい」とのメールが届いたのだ。驚いたけれど、素直に嬉しかった。


それからの毎日は、キラキラとしていた。もちろん、注意されたり、失敗したりすることも多い。キツくて倒れそうになったことも何度もある。それでも、お客様が笑顔になってくれるのが嬉しくて。


「ありがとうございます」を多用する職業だが、ここではお客様も「ありがとう」と言ってくれる方が多い。

それに対してまた、「ありがとうございます」と思う。


一言で言ってしまえば、私たちの仕事はドリンクをお客様に提供することだ。


けれど、働いてきて思うのは、お客様、そして私たちの居場所を作る仕事なのだと思う。


一杯のコーヒーを渡すまでの少しの間、私の笑顔や何気ない会話でお客様を笑顔にさせる。

それはまるで、コーヒーがもたらす魔法のようだ。

一杯のコーヒーが私たちを繋げてくれたのだ。


常連さんはもちろんいるんだけれど、初めて来たお客様もいる。そんな方に

また来たい


と思ってもらえるように、私はいつも笑顔と感謝の気持ちを忘れない。

私も休みの日でも自分のお店に行く。

みんな、とても喜んでくれる。

あー、ここが私のサードプレイスなのだな。と、感じる。


お客様にも、そう思ってもらえるように。

今日も笑顔で、コーヒーを届ける。



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